第14話 第二回悠翔君と愉快な仲間達。モンスターハント開催
新発見のモンスターは、すぐにオークだと名が知れ渡る。
無論情報元は、日本から。
出現個体数は、少ないが強力。そして、ゴブリンと同じように襲う。ただしこっちは女性のみ。男は殴り殺しから、食料への一本道。
そしてゴブリンと違い、遺伝的に近いのか、妊娠をする。
そして、掻爬(そうは)された胎児は、親と違い。消滅しない。
これは、出現から数ヶ月後に、医学界に発表され。センセーショナルなトピックスとしてトレンドになった。
そしてそいつの、出現範囲はアメリカ大陸からヨーロッパ。アジアへと範囲を拡げていった。
救いは、多くても2~3匹。そして体が大きいため目立つ。
すぐに、色々な国で、レジャーとしてのハンティングが広がった。
無論、日本でも解禁され、山中では連日散弾の音が鳴り響く。
弾は、単発の弾であるスラッグショットや、大きめの散弾であるバックショットが使用されている。
その中で、猟師から噂が出始める。
「歳をくって、辛かったが。豚のモンスターを倒したら、体が楽になった。最近、昔のように走れるようになってきたぞ」
「俺もだ、おかげで母ちゃんが、最近機嫌が良いんだ」
そんな声が聞こえ始める。
そんな声が、政府にも届き。実証試験が開始される。
そこで密かに、健康増進のために、モンスターを倒せと話が広がる。
すると、当然残虐性を増長するとか、色々な意見が出る。
珍しく対案が出る。その施策が始まってから。民間における、暴力行為が一気に減った。そんな資料も提出される。
そんな中。モンスターを捕獲し、無論秘密裏な会場だが、モンスター相手に、素手でのファイトクラブが開催され始める。対戦は色んなパターンがあり、ゴブリン対男から、オーク対男。時間が進むにつれ、対戦相手が女の子に変わっていく。
当然目的は、ピンクな演出だ。片側では残虐。片側ではそれにエロが加わる。
当たり前だが、試合には掛け金が飛び交う。そんな物が静かに広がっていく。
対戦者は、借金返済を掛けて戦う。
人間は意外と、したたかだ。
時は少し戻る。まだ日本にはオークが出ていない。
「第二回悠翔君と愉快な仲間達。モンスターハント開催」
久しぶりの講義が終わると、悠翔に捕まった。
「かわいそうな友人のために、一肌脱ぎたまへ」
がっしりと肩を掴んだまま、顔が近付いてくる。
顔を避け。問うてみる。
「何だ、ヌードモデルのバイトか?」
「違う。まあ、そのバイト代をくれるなら、何でも良いが」
「何だよ?」
「彼女が欲しくなった」
「「えっ?」」
丁度そこにやって来た皆が、驚き聞き返す。
「おまえ。彼女。居なかったのか?」
「居ないよ。今まで一度も。全く。完全無欠の童貞だ」
そう言って胸を張る。
「何でだ?」
みんながそう言う中。万結と理花ちゃんが口をそろえて言う。
「そんなもの人間性でしょ。顔が広いし。いつも、私たちがそばに居るからでしょ」
「俺らも居るじゃん」
周りがそう言うが。
「ぶー。恋する女の子には、対象の男と。じゃまな女しか目に入らない。君達などアウトオブ眼中よ」
「何だよそれ。じゃあ、モテないのは、おまえ達のせいか。俺、完全に被害者じゃないか」
「かわいそうだから、彼女募集中のプラカードでも作ろうか? 首から下げる板の奴」
「いらん」
「それでどうして、ゴブリンハントなんだ?」
「いや幾人か、気になる子はいるし、誘ってデートをしようと思ったんだが。金がなかった。2~3個巣を見つければ豪遊出来る」
「いや、当然頭数で割れよ」
「えー。かわいそうな俺にくれないのか?」
「何があった? おまえ性格が変わったぞ?」
「あーいや。その」
そう言って、悠翔は理花ちゃんをチラ見する。
「何だ。この前のを見て、発情期か?」
俺が、ぶっちゃける。
「おま。ばっ。口に出すなよ。理花ちゃんに迷惑だろう」
悠翔がそう言うと、安田から手が出る。
「見物料」
「もう時効だ。それに金がない」
さすが、悠翔。ビシッと切り捨てる。
「仕方が無い。行くか」
ぷらぷらと、外に出て行き、山の方へ向かう。
「空間の揺らぎ~。どーこーだぁー」
ぼーっと視界を広く取り。見るんじゃない。感じるんだぁーと心の中で繰り返す。
「み~つけた」
そう言って、走り始める。
「なっ。改。足、早っ」
両手を翼のように拡げ。「きぃーん」と言いながら心はジェット機。
目標発見。
中学生くらいだろうか、スカートを捲りあげているゴブリンの頭を粉砕。
そのまま、揺らぎの方へ向かって走っていく。
3匹くらいのゴブリンに、攫われそうになっているおっさんは無視。
その向こうで、5匹ほどの団子に、抱えられた女の子は素早く助ける。
入り口に到着。見にくいが竹林の入り口が歪んでいる。
電話をしようとするが、さっきせっかく無視をしたのに、おっさんを抱えたゴブリンが来たので、助ける。ついでに、ゴブリンを空間のしおり代わりに挟む。
電話をして、警官が来たら。なぜかさっき助けたおっさんにお辞儀をしていた。
まあそんな事はいい。
「巣を見つけました」
すぐに確認し。
封筒を貰い。住所と名前を、A4の用紙に全員が記入をする。
ただその空間の揺らぐ向こう側。警察は、知らなかったようだ。
足の下に居たゴブリン君は、突然消滅した。
中に入った、警官10名と共に。
「もう帰っていいよな?」
おれは、友人と信じる。皆に聞く。
だが皆、反応はなく。まるで屍のようだった。
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