第13話 変化と理解
「本人は気がついていないけれど、あからさまに優先して優遇をしてくれるもの」
「そうかあ?」
そんなことを言われても、ピンとこない。
「うん。違う。それにね、順位もあるのよ」
ぐいっと出てくるのは良いが、俺の上に這い上がるな。
「そうなの?」
「うちらの中では、久瀬君と私が一番。イエーイ。他は、受付順かな?」
「あーそうかな? あんまり気にしていないけれど」
「ふふっ。楽しそうねぇ。学生か良いなあ」
「仕事をし出すと、全然違います?」
「それはもう。レシピがある物は良いのよ。意外とないものが多くてね。いわゆるこのくらいは常識って言うもの。知っていないと、馬鹿にされるし。そもそも話について行けない。無論会社に関する物は皆が把握しておかないと駄目ね。こういうものは、どこそこが担当ですから、早急にご連絡させます。とかさ。でもねえ、どんだけ部署と部門があると思うのよ。覚えられるかぁ」
そう言って天を仰ぐ。凪紗さん。
酔っ払ったのか、動きやしゃべり方が万結に似てきた。
まあまあ、それからも。うだうだと万結先生の人物講義は続いていた。
それを子守歌に俺は寝た。
そして、翌朝。
当然だが、目が覚める。
俺は、ソファーで寝ていたはずだが、なぜかまっぱでベッドの中。
「うん? ああ。万結の部屋か?」
あれ? こんな感じだったか? 違和感を感じて、体位を仰向けにしながら、ぐるっと見回し。なぜか、背中側にいる万結と目が合う。
「おはよ」
「ああ。おはよ」
えっ。じゃあ。俺が腕枕をしているのは……。
「うん。どうしたの? キョロキョロして」
「これは?」
横にいる頭を指さす。
「お姉ちゃん。一応謝るけれど、改が酔っ払って寝ていたから、教育に使わせて貰っただけ。今考えると、凄いあれだけど。酔っていたからノリで。私も割り切るから、なるべく忘れて。さあ。ご飯を食べて学校へ行こう」
「それ、良いのか?」
「良いの。忘れて。ほら早く」
そうして食事をし始めると、にまにましている。
「どうした?」
「うーん? ずっとね。万結って言っていたのが嬉しくて」
「そうなのか? とりあえず、俺は酒を控えるよ」
「どうして?」
「せっかくなのに。覚えていないのが悔しい」
「私抜きで、勝手にしたら浮気だからね。お姉ちゃんにも言っておくけど。昨夜、改が寝てからさ、また元彼がどうのこうの泣き出しちゃってさ。相手もそいつだけで他の男を知らないから。精神的に沼って行ってね。死ぬとか言い出したから。それなら他の男も経験してみろって、言ったんだけど。……酔った勢いで、道に落ちているような男を拾われても嫌だし。一回なら良いかって、思って。改も、お姉ちゃん相手なら、文句も言わないかなって……つい。酔っ払って、意識無くても使えるんだね。良いことを発見したよ」
「おまえなあ。まあ。おまえが良いなら良いけど。悪魔のような奴。彼氏を姉さんに差し出すか?」
「うーん。子供の頃から、助けて貰ったし。やっぱりああいう姿見ると、何でもしてあげたいと思っちゃって」
「これで、復活をしていなかったら、どうするんだ?」
「大丈夫でしょ。そこまでは…… 弱くないと思うな。さあ、私たちは単位のためにも学校へ行こう」
そう言って、元気に腕を振り上げる。
――だが。こいつが、俺より先に起きているのが。まず、おかしい。
勢いで貸して。後悔しながら、ずっと起きていたのじゃないのか?
改の目が、優しい。
何だろう? 普通にしているけれど、見透かされている気がする。
怒っては居ないようだから、良いけれど。
――そして。
「おまえ。まだ酒臭いぞ」
「えーそう? 自分じゃ分からない」
そう言いながら、学校へと向かう。
――妹の彼氏と。
うー。とんでもない事をしてしまった。
うんまあ。おかげで元彼。
寝ていて、意識のあまりない。そんな改君と比べても、全くもって駄目だという事は理解をした。
ただ。完全に寝ぼけた状態で、万結と呼ばれて、かなり心に痛みが出た。
でえも。その事を差し引いても。
あれが、エッチというのなら。
元彼とやっていたのは、私の体を使っただけの。一方的な彼のマスター○ーションだわ。
よく分かった。
一応、これから誰かと付き合う前に、万結に判断をして貰った方が安全かしらね。
あーもう。昨日の行為が思い出される。どうしよう。初めての体験オンパレード。
当然これ以降。私の頭の中に、元彼が出てくることは、ほとんどなくなった。
ただ、遊びに来て。生身の彼がいると、ふと手が出て、つい触れてしまう。
中学生のような、身体接触でドキドキしてしまう。
どうしよう。
そんな頃。
日本ではない他の国で、未発見の生物が目撃される。
ビッグフットのヌードタイプだと言われ、現在でも生き残っていた原人ではないかと大騒ぎになる。
ただ原人とは違い、下顎に牙が生え、鼻が豚に近い。
耳は尖り、身長が2mを越える。発達した筋肉を持ち。
無論。出会った人間を襲う。
そのため、軍が出動するが、攻撃か保護かで論争が起こる。
無論現場での判断で、人命を優先と言うことで軍が配備された。
そして、そいつは現れ。車を数台と、現場を仕切っていた警官数人が、バリケードごと吹き飛ばされた瞬間。軍人の一斉射撃により、対象が消滅をした。
それを見て、UMAが好きだった指揮官は、がっくりと力が抜ける。
「何だよ。モンスターだ。殺れ」
その報告は、すぐに上に上げられ、学会は沈黙した。
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