第7噺 伊勢神宮建立
3匹の子ブタの本業
後日、赤ずきんの家のベッドの下でオオカミおばあさんの遺体は発見された。
遺体を火葬して燃え残ったオオカミの骨を骨壺に納める。3匹の子ブタによる急ごしらえの墓を建てたのち埋葬した。墓は赤ずきんの家の横にぽつんと大理石が立っているだけの簡素なものだ。
モモタ一行は手を合わせる。
そして現在。
桃の節句は雛祭り。
合戦地の横には建築途中の神宮があった。
アマテラス学園長が直々に3匹の子ブタに依頼したためである。
しかし、3匹の子ブタだけではさすがに人手というか豚手が足りないので、モモタとハスキーが特別授業という名目で駆り出され、おとぎ学園のほうからはコロポックルたち(柿の種で買収)が派遣されていた。
安全第一。
全員ヘルメットを装着していた。
どこから輸入したのかトラックやクレーン車も配備され、コロポックルがスマホで操作している。近くの大樹の森の木を伐採してトラックで運搬していた。
途中、大型トラックが暴走してレンガの家に突っ込む事件があった。
壊れるのは一瞬だった。
「俺のレンガの家が……」
現場監督のブロピが膝から崩れ落ちたのは言うまでもない。
ストピーとウドは兄の肩にそっと豚足を置き、給仕係のビョーキと赤ずきんにも励まされ、ブロピはヘルメットを被り直すと、
「今度こそ、何者にも壊されない頑丈な建物を造ってやるぜ!」
と、意気込み現場に指示を飛ばしていた。
「みなさん、仏造って魂入れずでは困りますよ~」
Momo純正タブレット端末モモパッド(シンデレラのおニュー)では、テレビ電話が繋がっていた。
そしてなんと驚くべきことに、その画面からはアマテラス先生が声援を送っていた。
テレワークとは神の世も末である。
アマテラス先生はなぜか学園の外には出られないらしいので苦肉の策だ。
作業が一区切りついた隙を見はからい、バリバリ肉体労働者のモモタは神様に質問する。
「レンガの家をコロポックルに壊させたのはあんたの指示なんじゃろ? それは3匹の子ブタの帰る家を奪うためじゃ」
「さあ、何のことですか?」
とぼけるアマテラス先生。
別にそこまでせずとも、3匹の子ブタは学園に入学したじゃろうとモモタは思った。
「カラバ侯爵を始め、あえて反乱分子をこの世界に紛れ込ませることによってクラスの結束を高めようとしたんじゃろう? これもあんたの差し金じゃ」
だいぶ危険な橋を渡った。
「私はモモタさんを信じたんですよ。日本最強さん」
うまく転がされている気がする。
そっぽを向いてモモタは建設現場を漫然と眺めていると、そこでうろちょろする女生徒Aを発見した。
「ヘイ、ガーイズ。今日は私のフレンズを紹介するわね」
実況生配信するシンデレラだった。
「頭湧いとんか?」
と、モモタはシンデレラに注意した。
「働かざる者食うべからずやぞ?」
「働いてるもん。私の細胞たちが」
「屁理屈をこくな」
「なによ、そんな目くじら立てなくていいじゃん。これがフューチャーのジョブなのよ?」
「んなわけあるかぁ!」
それがほんまやったとしたら人類滅亡しよんよ。
「……まあ邪魔せんかったら別にええけどやー、くれぐれも重機には近づくなや」
変に手を出されても作業が滞る。
適材適所なんじゃろう。
こういうのは、きっと。
「ほいたら、ラストスパートやるど」
言って、モモタは作業に没頭した。
チントンシャン。チントンシャン。チントンシャン。
モモタの鬼神のごとき働きによって、見事、
といっても、伊勢神宮にはのべ125の宮社があり、そのすべてをこの人数だけで建立することなどどだい無理な話なので、今回は
日本庭園に佇む
一行は厳かに居住まいを正すと、モモタの背後から声を掛けられた。
「恐れ
アマテラス先生だった。
しかも実体である。
モモタは自身の背後をとられたことに大層驚いたのち、アマテラス先生から自然と距離をとった。
まさに神出鬼没。
神秘的なオーラを纏ったアマテラス先生は、全員の視線を一身に浴びながら微笑んでいた。
もはや言葉は無用の長物。
神々しいという語句を
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