わ!

だらく@らくだ

"

小さくても役に立ちたい



あるダンジョンを三人の男が歩いていました。その中の二人は胸から足の先まで鎧に包まれてはいるけど、背がとても低い。だって

残った一人の腰ぐらいまでしか無いんですもの。

三人の名前はそれぞれ「マル」「シカク」「ダライ」と言いました。

ってそんな事を話してる内に三人の目の前には大きなドラゴンが立ちはだかりました。

ドラゴンは「こんな小さな奴らなら簡単に勝てそうだな」とにやり笑いました。

だけど、世の中そう上手くはいかないもので

マルとシカクは突然、輝き出したと思いきや

ダライの剣となって、それぞれの手に握られました。これにはドラゴンもびっくり!逃げようと後ろを向きます。しかし、その隙を見計らって、ダライはざくざくとドラゴンを

斬ってしまいました。

ドラゴンがばたんっと倒れると、マルとシカクは元の通り小さいけど人間の姿に戻ります。「えらいえらい」とダライは二人の頭を撫でました。二人はとっても嬉しそうです


そんなこんな、更に歩いていると甘いお菓子の匂いがしました。二人はその匂いに鼻をぴくんっとさせ、駆け出してしまいました。二人ともお菓子が大好きなのです。あまりに突然だったもので、ダライも反応が遅れてしまい、気付けば二人を見失ってしまいました。

そして、二人は籠いっぱいのお菓子が地面に

置かれてる場所まで辿り着きました。すぐさま二人はそれに飛び込みます。だけど……

「ふぎゃ!」「にゃ?!」

なんと、籠の下には落とし穴が掘ってあり、

二人は網に絡まってしまいました。武器に変身して逃げようにも武器だけじゃ落とし穴を

抜けられません。誰かが来るのを待つしか無いのです。そして、誰かは来ました

「たすけてー!」「だしてー!」二人はとにかく声を上げます。しかし、それも虚しく網は落とし穴から引き上げられ、気付けば男の背中に抱えられた二人なのです。そう、男は

とても悪い人、ダンジョンで人間を捕まえては飽きるまでずっと意地悪して遊ぶのでした

二人は武器に変身して、網から抜け出そうと

しましたが、網はとっても丈夫、暴れても傷一つ付きません。しばらく暴れていると、男が「うるせえ」と二人が入った網をバシンっ

地面に叩きつけました。それで気絶してしまった二人です


目が覚めると、二人はロープでぐるぐる巻きにされて、地面に寝ていました。どうやらここは男が意地悪に使う部屋の様です。

「お、目が覚めたか」

男は二人に言いました

「ここはどこなのー?かえりたいー!」

シカクは男に言いました、すると男はにやりと笑って

「その内、帰れるさ。俺が満足しきったらな」と言いました。

二人はとても怖くて赤ちゃんみたいに大きな声で泣き出してしまいました。その顔を見て、男はとっても嬉しそうです。

「さて……まずは爪を剥がしてやろう。どっちから先にやろうかな?」

どこからかぎらんと光る小さなペンチを取り出して、先っぽをぺろりと舐めます。

大変です、このままじゃ二人が拷問されてしまいそうです

だが、その時


「やめなさい!!」

どこからか声がしました

男が振り返ると、そこには赤色の鎧を身にまとった女性が立っていました

「あんたの事は知ってるわ!ダンジョンで人を捕まえては意地悪を繰り返している凶悪犯だってね!」

「へっ……また玩具が増えたか!おら!」

男は大きなハンマーを手に女性へ襲いかかりました!すごい力です!

「くっ……」

女性がそれを避けて、地面にハンマーが当たる度に、地響きがそこら中広がります

「でゃ!!」

「ふんっ!!!」

女性も、剣で応戦しますが、ハンマーで防がれてしまいます。どうやらこの男、とっても

強いみたい。そして、とうとう

「おらぁっ!!」

「あぁっ?!」

ばっきぃいいん!!女性が使っていた剣は無惨にも粉々に割れてしまいました

「へへっ……勝負あったな。くたばれ!」

「きゃっ!!」

間一髪、女性は男の一撃を回避しました

だけど

剣が無いんじゃ戦えない……どうしよう

女性は困ってしまいました。

その様子を見て、二人は互いに目を合わせ、こくんっと頷きました。

すると、何と女性の手にはそれぞれ剣が握られているではありませんか

「これは……なんで!?」

「僕たちが!」「一緒に戦うから!」

「う、嘘だろぉ!?」

勝ちを確信してた男は思わず、尻餅をついてしまいました。

「あんたたち、知らないからね!」

「うん!」「うん!」

一気に形勢逆転です、武器に変身した二人は

さっきまでの泣き虫さんとは打って変わって

とっても勇気が溢れていました。

「悪いことは……やめなさーい!!」

「ひぃい……たすけてぇ!」

遂に男はハンマーを投げ捨て、土下座をしてしまう始末でした。三人の勝利です


「マル!シカク!探したんだぞ!」

女性に手を引かれて、二人とダライは再開しました。

「うっ……」

「うわぁああん!ごめんなさい!あなた意外と協力して戦ってしまいました!!」

シカクがそう言って、泣きだしました。

それを知って、ダライはびっくり!だって二人がダライ以外の人に変身して、戦うなんて事は初めてでしたから。

「別に気にしないよ……それより」チラッ

「え?」

「あんたコイツらと戦ってどうだった?」

「あ」

「わ、悪くは無かったわね。でも武器が壊れたから仕方なくだからね!ふんっ!」

「でもすごい楽しそうだった!」

「そう、すごく!」

「あんたら!」

これは一人と二つの武器のお話し……

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