069 スパエチゼンヤを作った

 王都城外にスパエチゼンヤを作るに当たって、まずは温泉の出る用地の確保だ。


 アカが温泉を探す。ドラちゃんとドラニちゃんに小さいまま、横に間隔を開け王都の城壁外を一周してもらう。アカが目を瞑っている。ドラちゃんとドラニちゃんセンサー、原理不明の地中レーダーとかを見ているんだろう。性能は多分、核までだろう。一周してきたらさらにその外側を一周。お、ヒットしたようだ。アカを先頭に駆けていく。

 えええ、エリザベスさんも、ステファニーさんも、アンナさんも侍女さんもみんな付いて来られる。体力が著しく向上してしまった。


 牧場がある。エチゼンヤさんの牧場だね。そこから少し行ったところでアカが止まった。北側に王都だ。


 「ここを掘ってみましょう」

 アカが人差し指を地面に向ける。直径20センチの穴が開く。穴の周囲は硬化したようだ。2000メートルくらい掘ったら蒸気が吹き出してきた。熱いね、100度以上だ。すぐバルブ付きのパイプを作り穴の硬化部分に接合。温泉蒸気を止める。圧が加わった100度以上の温泉蒸気だ。各施設で温度を下げて使おう。飲料用の井戸も掘った。100メートルほど掘ったら自噴した。こちらも水量豊富。流石アカだ。


 早速周りを囲む。王都側に源泉。10キロ四方でどうだ。どうせ何もないんだから南は15キロに伸ばそう。高さ20メートル、幅5メートルの土壁をアカと半分ずつ作る。土壁は硬化させた。硬いぞ。人は勿論、魔物でも壊せないな。ブランコなら壊せるかもしれないが、硬いよ、痛いよと騒ぎそうだ。あっという間に囲いができた。東、西、南に門を作る。馬車2台が悠々すれ違えて歩道ありの立派な門だ。門の材質は金属だけど分厚い木の板に見えるようにした。


 あとは植栽だな。とりあえず、土塀が内部の施設から見えないように土塀の内側に木を植えよう。土塀と木は100メートル離す。アカが木の実を出してくれたので早速手分けして撒く。パラパラと撒いて水をやるとすぐ上に伸び出す。あっという間に土塀を超えた。外から見ると土塀の中はこんもりした森だ。内からは森に囲まれた楽園と思えるように作りたいな。東西の門は森で隠す。当面使うつもりは無いからね。ガッチリ施錠した。南の門は大手門と名付けよう。


 ここまで作ったらエリザベスさんが土地の取得の届けに行った。


 さて、王都側土壁から2キロ南の西半分に高級リゾート旅館を作ろう。

 本館は玄関を入りエントランスホールがあり、カウンターがあって、応接室が二部屋、喫茶室、レストラン、厨房、トイレ、女将の部屋、事務室、会議室、従業員休憩室、更衣室、食材庫、食器庫、リネン庫、倉庫など。二階に客室10室。ただしこの客室は僕とエチゼンヤさん用。本館の役割は旅館全体の管理棟に近いな。

 一階から外に出ると、大自然の中に高級宿泊棟が散在する趣だ。必要なら他の客と顔を合わせなくても済むようにしよう。無害で可愛いく見える観察機能付小動物を作って放しておこう。ふふふふ。いけない。また作ってしまった。


 リゾート旅館は従業員で管理してもらうように作った。この世界はなるべくこの世界の理で動いてもらいたいからね。でも随分つぎ込んでしまった。この世界の理外のものを。まあいいか、ひととき夢の世界に遊んでもらおう。


 旅館から少し東に高級スパを作る。旅館との間には木々があり直接は見えない。スパはスパ棟と同じようなものだが、高級路線なので、建物は石造り、神殿風だ。玄関、玄関ホール、カウンター。脱衣所、化粧台、シャワー付き洗い場、泳げるくらいの大きな普通の風呂。でも木で作ってしまった。香りがいいな。この木は腐らず、傷付かずだ。露天風呂、寝湯、ジェットバス、岩盤浴、砂湯、シャワー室も作っておこう。トイレも複数。風呂関係とトイレは男女別の2セット。高級路線だけど大ホールは作った。こんなものか。何か足りないかな。気が向いたら時々改装しよう。


 旅館とスパの東側にかなり離して管理施設、従業員宿舎を作る。僕のスパ棟を出す場所も取っておく。リゾート旅館、高級スパからも大手門からもメインストリートからも見えない。管理施設などが見えて雰囲気を壊すこともない。


 これら奥の施設から500メートルくらい南から大手門に向かってメインストリートを作る。

 メインストリートは、全体の幅100メートル。真ん中に66メートル幅の公園、その両脇に、車道11メートル、歩道6メートルだ。

 あとは1ブロック100メートルとして地割をする。ブロック間の道路は、車道10メートル、両脇に歩道4メートルにする。

ブロック内の通路は、追々作ろう。


 公園もあちこち作っておこう。1ブロック丸ごと公園にした。公園にトイレと水飲み場を設置した。安全で美味しい水が飲める。

 メインストリートの公園に植栽する。トイレと水飲み場も所々に設置した。街路樹は全て植えた。空き地には低木を植えておく。


 水道管と源泉蒸気の管と下水管を敷設した。一番しもには地下に下水処理施設。下水処理施設の処理水は、水温14度、水質優良に調整。地下水のミネラル分と同じ成分を足しておこう。美味しく飲めるぞ。処理水は庭園を作り流す。


 そういえばこの世界に来て滝はテーブルマウンテン以外見たことはないな。よし、サービスするとしよう。100メートルくらいの山を作る。その山頂より少し下に泉を作って、処理水を湧かせる。温度は低くしよう。5度だ。そこから少し谷川にして下り、高さ50メートルくらいから滝にする。三段の滝にするか。豪快に落ちるのもいいけど、ここでは風情が無い。山の北側、つまりスパ方向は木で見えないようにする。南方向の木の高さは滝の頂点より下にした。眺めがいいだろう。


 滝から流れる水を中心にした庭園を作る。池も作る。池からは川が流れ出て庭園を巡り最後は敷地外を流れる川に合流させる。敷地を出る時近くの川の水温になるよう調整。良いね庭園。この世界ではみた事ないぞ。


 南の大手門に看板をかける。「スパエチゼンヤ」。見物人がきたね。門は一応閉めておこう。現在建設中と看板を出す。


 大手門の近くにメインストリートに面して銭湯を作る。安い料金で誰でも入れる。銭湯には大衆食堂も中に作ろう。湯船のお湯はスーパー濾過装置でまっさらにし、減った成分は源泉蒸気から抽出し添加、源泉と同じ成分にして循環利用。成分を抽出後の源泉蒸気は、暖房に回したり、厨房の熱源にしたりする。使いきれなかったものはメインストリートの公園に温泉の噴水を作った。暑い時は水に切り替えられるようにしておく。噴水からせせらぎを作って公園の中を大手門に向かって流す。最後は下水処理施設へ。


 銭湯の向かいにスパを作る。奥の超高級スパと違い、やや高級だが、頑張れば誰でも入れる施設だ。


 銭湯もスパもメンテナンスが必要な作りにする。従業員が自分たちでメンテナンスした方が愛着が湧くだろうからね。ほんとかな。


 娼館?それはローコーさんとヨシツナさんに任せる。トイレ、風呂などは手を貸すけどね。

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