047 コシから王都を目指し出発 武装、食事、風呂、トイレ
一週間経って出発の日だ。板長さんに料理を十分作って貰ったから、3食いつもの食事だ。
馬車にはダミーの荷物を積み込んだ。武器類はだれでもすぐとりだせるように普通に積み込んだ。
ローコーさんの
「行って来るよ。バントーさん、皆んな頼んだよ」
との掛け声で出発。
夜明けなので門も楽に通過出来た。今日は東門だ。王都は東西街道を東に馬車で8日から10日。東西街道は主要街道なので整備状況は良いそうだ。それでも山道あり、盗賊、魔物、獣が出て来るそうだ。
街を出てしばらく行くと一時停止、みなさん武装を始める。
店の店員さん4人は、野太刀を背負って脇差を差して手甲、脚絆だ。ひえええ、盗賊など逃げ出しそうだね。冒険者より圧倒的に強そう。
エリザベスさん初め女性陣は武装はしていない。おっと手裏剣、クナイ、棒手裏剣、手甲鉤、ドス、次々出てくる。こちらは隠し持っていくらしい。油断して近づくとドスやクナイでブスッと。刀、薙刀は馬車に積んでいる。薙刀は馬に乗る時使うらしい。ひええエチゼンヤ怖い。抜けたところがあると思えたアンナさんも真剣な表情でドスの刃を見ている。舐めた。怖い。あ、舌を切った。やはり抜けている。治療してやろう。
今回は女性が多いので最初から武闘集団でいくらしい。最も女性も馬に乗れば薙刀で薙ぎ払らい、近づけばブスリだろう。
武装していないのはオリメさんと助手のみ。でも扱い慣れた世界樹製なんでも切れるハサミを振り回したらかなりの威力だ。持ち手のパワーアップ機能がついているから、鈍などチョキリだろう。首もチョンパだろうな。本人たちは気がついていないだろうけど。たまには普通の人がいいよ。黙っていよう。
馬が鼻面を擦り付けてくる。おや、お前は最初にエチゼンヤさんと出会った時の馬だね。何?水が飲みたいの?今度の休憩の時にね。
武装が終わって出発だ。まだ日は昇ったばかりだ。4頭立てで荷物がほとんどないので馬車は軽やかに進む。
僕はアカに乗って、マリアさんはエスポーサに乗せて貰っている。ブランコは先導だ。みんな馬ぐらいの大きさになっている。ドラちゃんはいつもの大きさでみんなの所をふよふよと回っている。時々馬車の屋根の上で寝転んでいる。
二時間ほど走って休憩。二時間に一回休憩を入れるらしい。馬が水、水と言っているから御者さんに断ってからやった。物凄い勢いで飲んだ。他の馬もちょうだいちょうだいと言うから飲ませてやる。みんな大満足のようだ。
休憩が終わって走り出すと心なしか力強く馬車を引いている。一回休憩を挟んで昼食。テーブルと椅子を出し、侍女さんがテーブルクロスを敷いてカトラリーをきちんと並べている。昼食分の料理を侍女さんに渡し、侍女さんが配膳していく。うちの子たちも小さくなって長椅子に座って待っている。
「外でテーブルで家にいるような食事を食べられるとは夢にも思わなかった。シン様に感謝していただきましょう」
屋敷にいる時と違って全員で食べる。追加で装りたければ自分で装りにいく。爺さんもエリザベスさんもだ。えらいね。だから団結して表、裏の任務に励めるんだろうな。
食事が終わったら、カトラリー、鍋、テーブルクロスを預かってきたないの飛んでけだ。綺麗にして収納。銀食器も曇りなくピカピカだ。
出発までの休憩時間に馬を見に行く。何かちょうだいと言っている。人参くらい良いかな。御者さんに確認したら水のお礼を言われた。人参をやって良いそうだから、野菜畑の人参を一度劣化袋に入れ一本ずつやった。うまそうに食べた。馬だから。だんだんうちの子たちにも慣れてきたようだ。
休憩が終わって再び動き出す。ドラちゃんは仲良くなった馬の背に乗っている。一度休憩を入れ野宿地を探す。少し平らな所がありそこで野宿することにしたみたい。テントを張りみんなで食事をした。そして出そう、露天風呂改め湯殿棟と洗面棟。露天風呂は改修して完全な室内風呂にした。
「シン様それは何でしょう?」
爺さんに聞かれた。
「お風呂とトイレです。お風呂は女性から先にどうぞ。トイレは湯殿棟にもあります」
女性が色めきたった。エリザベスさんを先頭に突入していく。ああ、休憩の時に洗面棟を出すんだった。必要がないと気付かない。今度出してやろう。マリアさんもエスポーサとドラちゃんを連れて湯殿棟に入って行った。
トイレの使い方は、マリアさんが教えてくれるだろう。中から歓声が聞こえて来る。
「シン様、テーブルに温かい食事、それに、風呂とトイレまで。王侯貴族の旅でも考えられませんな。本当に感謝しています」
みんなうなずいている。
「こちらこそ居候をさせていただいて感謝しています」
ブランコは馬のところに行って遊んでもらっている。
爺さんから例のブツを売りつける目星のついた相手の事情、売りつける手法などを聞いて大笑いしているうちに女性陣が出てきた。侍女さんが洗濯袋を担いてくる。はいはいわかりましたよ。汚れ飛んでけ汚れ飛んでけだ。侍女さんテントで確認してね。
エリザベスさんがずいっと身を乗り出してきた。
「シン様、あのウオッ◯◯レットを是非我が家に設置してください。お代はいくらでも出しますわ」
「ええっと、あれはーーー」
「これ無理を言うんじゃない」
「あなたは黙ってらっしゃい」
「ーーーーー」
「あれは材料がここのものではないので、同じものは作れません。他の材料でも形はできるかもしれませんが機能は研究ですね。そういえば充填した魔石はその後どうですか」
「まだ使えています。自然のものは満充填の状態で入手できませんから満充填でどのくらい使えるか確認して、同様の大きさの採取した魔石の使用期間と比べれば今までわからなかった自然状態の魔石の充填割合がどのくらいかおおよそのことがわかるかもしれません」
「とりあえずお風呂に入りましょうか」
「ブランコお風呂だよーー」
駆けて来た。可愛いねえ。
お店の人も御者さんもみんなで風呂に向かう。
「ここがそのトイレです。使ってみて下さい」
一応機能の説明をしてドアを閉める。しばらくすると、オホ、ヒエー、ウハと奇声がする。
「シン様、確かに家内の言う通りです。魔石を使って何とか機能が再現できないか研究させましょう」
一人ずつトイレに入って全員奇声を発した。
エチゼンヤさん、儲けがチラついたらしくやる気になっている。
お風呂に入ってその豪華さと清潔さ、明るさに仰天している。
「ここは神の国か、エリザベスは今はウオッ◯◯レットで興奮しているがやがて風呂の素晴らしさに気付くに違いない。これも作らされるのか」
エチゼンヤさん、ややお疲れのようだ。お風呂に浸かって、あ〜〜〜と御発声だ。
みんなもお風呂に満足して貰ったようだ。
服はキレイキレイしておいた。
湯殿棟は清掃して収納。洗面棟は女性陣のたっての希望で朝まで置いておくことにした。
寝る前に見張り当番を決めているらしいが、魔物、獣は近づかないように、ブランコとエスポーサに縄張りを主張してもらうから大丈夫と申し出る。
ブランコとエスポーサがウオーーンと遠吠えを2回した。魔物や獣の敵意が一瞬で消え怯えになった。今まで気配を消していたが遠吠えとともに放出された気配により圧倒的な強者に気がついたんだろう。近くの魔物、獣は腰を抜かして悶絶しているね。
結局野宿の訓練にならないから、御者とお店の人で二人ずつ見張り番をすることになったようだ。
僕たちは自分のテントだ。マリアさんも一緒。いつも通りぐっすり寝た。
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