044 宰相と冒険者組合本部長が特急便の内容を国王陛下に報告する
「陛下に報告しよう。陛下にアポをとってくれ」
優秀な秘書嬢に頼んだ。
「ではこれで」
「待て、一緒に陛下に説明するんだ」
「宰相の仕事だろう」
「お前はガキの頃からそうだった。すぐ逃げる」
「責任取らずに押し付けるからだろうが」
「ハイハイ、陛下のアポが取れました。すぐ行ってください」
二人が出て行った後。
「お茶片付けてね」
「はい。ステファニー先輩、あの二人と御ローコー様はどんな関係なんですか?」
「ステファニー・マリアよ。省略不可。あれはねえ、三馬鹿で有名でね。つるんで遊び回っていて、いつも先の国王ユージーン陛下に叱られていたのよ。色気づいて来たので尻を蹴っ飛ばしてやったこともあるわね」
「え、先輩はいくつなんですか」
「女性に年齢を聞いちゃダメよ」
陛下の執務室の前で従魔だから冒険者組合のお前が先に行け、いや国の危機だから宰相だろう。そっちが先に行けと醜い争いをしている二人組。
ドアが開いた。
「どうぞ。陛下がお待ちです」
中に入ると陛下が声をかけた。
「宰相、エチゼンヤ関係で何かあったのか」
「それがローコー様からの特急便の手紙がありまして2点ご報告があります。一つは、柴犬、白狼、ドラゴンが従魔登録されました。従魔の主人はローコー様の関係者だそうです。二つ目は、マリア殿が神に嫁いだそうです。どう対処すべきかご指示願いたくまかりこしました」
「本部長は、その柴犬と白狼はどんなものか知っているか?」
「全く聞いたことがありません。登録書類には西の森の奥に生息となっています」
「ドラゴンはどうか」
「超小型ドラゴンで西の森の奥だそうです」
「宰相はその3種を知っているか?」
「全く知りません。エチゼンヤが絡んでおり、超胡散臭いのですが」
「エチゼンヤ殿は、父の弟だし、余は苦手だ。よろしく頼む」
「そんなことを言われても、私は宰相として仕事があり」
「私は本部長として大変仕事がつまっております。そもそも国の機関ではありません」
「友達だろう。その方らとローコー様は。聞いているぞ、三人が父上にいつも叱られていたという話を。頼んだぞ。次はマリア殿か。神に嫁いだとはどういうことか」
「わかりません。どうもローコー様はボケたのではないかと」
「宰相よ、ボケで済ませられれば楽だがね」
「そもそもローコー様が絡んでいるので大変怪しいです」
「その方たちで事実を確かめよ。余は苦手なんだ。マリア殿に昔襁褓をとりかえてもらっておってな。頭が上がらん」
「陛下、我々も色々な事情があり、マリア殿には大変世話になっておりまして、苦手です」
「そうそう聞いておるぞ、その方らの所業をローコー様とマリア殿に解決してもらったそうではないか。聞いておるぞーーー。頼んだぞ」
「「うう」」
「これで二つの問題はその方らで解決してくれることになった。目出度いね。優秀な宰相が仕事を持ってくるから余も忙しい。下がって良い」
「ブライアント陛下が退出されてしまったよ。どうするトラヴィス宰・相・殿」
「ブライアントめ年々逃げ足が早く上手になる」
「逃げ足はお前を見習ったんだろう。ステファニー・マリア秘書嬢は、敵対していないのなら会ってみたらどうかと言っていたじゃないか」
「そうだな。ステファニー・マリア嬢は怖いからな。言うことを聞いておこう。ローコーと従魔御一行とマリア殿にきてもらうか。従魔の主人ももちろんだ」
「おとなしい従魔だといいのだが」
「召喚状はまずいな」
「踏み潰されてしまうぞ」
「そうだな、招待状にするか。晩餐会の招待状がいいかな。晩餐会の前に会うことにしよう。一度も招待したことのない人が晩餐会の前に国王に会って知遇を得るというのはどうだろう」
「その考え方はまずいかもな。神だとか言っているので、神にお会いして我々が神の知遇を得るが正しいだろう」
「ええい、面倒だな。国王はやめておこう。神かどうか判らないやつにそんなに気を使う必要があるのか」
「ローコーが言っているんだからな」
「ボケじゃないか」
「ボケてなかったらどうするんだよ」
「ううむ。じゃ晩餐会の前に宰相が是非お会いしたいにしておくか」
「いいんじゃないか。偽の神とわかっても宰相が責任を取ればいいんだしな」
「結局俺の責任になるのか。手紙を書くから冒険者組合で届けてくれ」
「わかった。コシまでの手紙配達の依頼を出し、冒険者に届けさせよう」
「途中で盗賊に襲われるといいな。魔物の方がいいか。手紙が届かなければしばし平和だ」
「冒険者に届け物なんぞは真っ先に捨てて逃げろと言っておこう。逃げ足の早い冒険者に頼もう」
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