015 冒険者組合で従魔登録をする

 さてやって来ました冒険者組合。


 スウィングドアだよ。爺さんと押して入る。ホールになっていて窓口嬢が並んでいる。大きな郵便局みたいだ。空いているね。時間によって混んでいるのかもね。


 窓口嬢に従魔登録を依頼する。窓口嬢から説明がある。


 「従魔は登録する必要があり、その性格上冒険者組合が登録を一手に引き受けています。他の組合から従魔登録を委託されているので、従魔登録だけなら冒険者組合に加入しなくても良いです」

 「ただ商業組合が永年会員なので、冒険者組合もその扱いになり、会費は不要で仕事をしなくても資格は失われません。なので加入した方が良いでしょう」

 永年会員すごい。


 なお冒険者組合におけるランクは実績次第との説明であった。それはそうです。はい、入会しました。商業組合員なので組合員証に追加する形で簡単でした。


 会員の登録が終わったので従魔登録です。また書類です。自分の名前を書いて従魔を記入します。

 ええと、アカは柴犬1歳。ブランコとエスポーサは白狼1歳。


 お姉さん、柴犬と白狼に疑問があるみたい。爺さんはエチゼンヤ前当主のオーラを出して

 「西の森の希少種、柴犬と白狼です」

 お姉さんタジタジ。

 「で、では係が従魔を確認します。この札をお持ちになって外に出て、従魔待機所でお待ちください」


 待機所で待っているとコワモテのおじさんがやって来た。


 「俺が従魔登録官だ。柴犬と白狼だと。聞いたこたあねえな。従魔はどれだ」

 上から目線だよ。


 爺さんが口を開いた。

 「出世なさいましたな」

 「誰だテメエは。げっ、エチゼンヤ」


 「思い出しましたよ。昔、護衛をしてくれた冒険者がおりましてな。隣国まで行ったのですが、難しい商談をしている間に、護衛が娼館に入り浸り、支払いが出来なくなり、大立ち回りをして衛兵に捕まりましてな。娼館に損害賠償を含め支払いをし、あちこち頭を下げ、接待攻勢をかけてやっと護衛を払い下げてもらいました。難儀しましたよ。隣国の事でこちらの人は知らないでしょうね。それはそうとこの頃若いお嫁さんをもらったそうですね。ご挨拶に伺いましょうかね」


 「待ってくれ、待ってくれ。柴犬と白狼はーーー」

 「西の森の希少種です」

 「そうだったな。そうだった。大きくて白い2頭が白狼、小さい1頭が柴犬だな。首輪もしている。確認終わり。さっきの窓口で鑑札を受け取ってくれ。では失礼する」

 登録官は逃げて行った。


 「ふん」

 爺さん鼻で笑った。

 「さ、確認が済んだそうです。窓口に戻りましょう」

 

 「すごいですね」

 「世の中色々ありますから。ちなみにここの組合長も知り合いです」

 悪い顔をしているよ。どんな知り合いか聞かないことにしよう。


 窓口のお姉さんから鑑札をもらう。首輪に付けるのだそうだ。

 「あの登録官は書類不備だとか難癖をつけて差し戻すので、申請者も我々も困っています。よく一回で通りましたね。短くて半日書類放置が普通なのですが、素早い処理です。ありえません」

 「仕事に励むことはいいことです」と爺さん。

 「そうですね。そうあって欲しいのですが」


 お姉さん何かもっと言いたそうでしたが、鑑札を受け取って組合を出る。


 大人しくって偉かったねと、アカ、ブランコ、エスポーサの順で鑑札をつけながら撫でていく。

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