第27話 「ボウリング」と書いて「才能」と読む①
カッコーン!!
「よし、ストライク。」
カッコーン!!
「やった〜!! ストライク!!」
カッコーン!!
「……ストライク。」
カコーン。
「……スペア。」
カッコーン!!
「また、ストライク。」
カッコーン!!
「2連続ストライク!!」
カッコーン!!
「……ストライク。」
ガタン。
「…………ガター。」
〜〜〜
「1ッ番!!」
「……2番」
「あぁ〜3番か。」
「……」
現在、僕たちは懇親会と決起集会を兼ねてボウリング場にきていた。
「イェーイ、一番!!」
「悔しいな。あと、10点だったのに〜。」
「大丈夫ですよ。僕なんか60点差ですよ。」
「いや、あんたは下手すぎ。これ初めてだっけ?」
すごいストレートに言うな。僕じゃなきゃ傷ついちゃうね。
「…一応、以前に1回だけやったことがあるので、初めてではないですけど…なかなか上手くなりませんね。」
「やっぱり、そう言う感じだよね。」
「まぁ、いきなりやってできるなんて方がおかしいんだから。あんたは普通よ、普通。」
「ちなみに、僕は4回目。」
「…私は初めて。」
「……たまにこういうタチの悪い天才もいるけど、普通はそんなに上手くいかないから、気にしないでいいから、本当に、マジで。」
……なんか怒ってないですか?
最初は僕のことを励ましていたような気もしたのだが、後半からは自分に言い聞かせるように淡々と話していた。
何か彼女の逆鱗に触れてしまったのか?
「…まぁ、いいや。考えてても上手くなる訳じゃないし。それじゃこのまま2回戦行く?」
「あっ! 僕ちょっと疲れたから休憩してるねだから、先やってていいよ。」
「うん、了解。じゃ、先やってるわ。」
そう言うと、手元にあったモニターを操作し、次のゲーム画面へと切り替わった。
「よし。優がいない間にさっさとレベルアップして追いつくか。」
「じゃ、2人とも早くやんない?」
「分かりました。」
「……分かった。」
「よし、なら私からやるね。」
さてと、さっきの音無さんに言われたこともあるし、僕も頑張るか。
それにしても上手くなるとは簡単に言うが、実際にやるとなると言う以上に難しくなる。
勉強であれば、多くの人間が小さい頃から何かしらの形でやっていると思う。小学生くらいだと、先生から出される宿題を嫌々やっていることも勉強の内になっていたかもしれない。しかし、やったことで身につくものはごく僅かだったりもする。
まぁ、とりあえず今言いたかったのはそういうことではなかったから、置いておこう、それよりも、大事なのは
何をすればやったことに対して対等の知識や技術が身につくのだろうか?
例えば100の努力をしても、結果として100が返ってくる人は少ないと思う。
だとしても、結果を出すために努力をするのであれば、100に近づけるための工夫が必要なのだ。
…ならば、僕がこの場でするべきことは一体......
「……………………………………………分からん。」
うん、全然分からない。
結構深いところまで考えて、もう少しで何か答えが出せそうなところまで来たのにそれ以降全然分からなくなった。
…でも、それもそうだろう。
もし、この世に努力の最適解なるものがあるのならば、それはもっと世間に知られているものであり、誰もが才能ある人生を謳歌できる社会になっているど思う。
まぁ、十人十色という言葉があるくらいだから、努力にもいろんな形があって、最適解なんてものはないのかもしれないか。
…………………………
…いくら考えても、しょうがない、今はとりあえず。投げで投げて投げまくるか。
「あれ? あんた何か考えてたぽかったけど、もう終わったの?」
「あ〜、大丈夫ですよ。今日の夜ご飯何にしようかなって考えてただけですから。」
「…そう。なら、いいけど。」
今はこうしてクラスメイトとも話せるようになったんだし、ゆっくり成長していけばいいか。
ガタン
「………」
「…あんた本当に好きね。ガター。」
「…別に好きでやっているわけではないんですがね。」
ごめん。やっぱさっきの無し。ゆっくり成長だなんて、そんな悠長なことは言ってられない!
今はとにかく、普通にガター取らない程度には早く成長しないとな。
だが、僕には100%の知識や技術を得るための方法を自分では導けなかった。
ならばどうするか?
…自分で導き出せなかった問題は他人を頼れば良い!! 要するに.'....'
「すいません、音無さん。ボウリングのコツとかありますか?」
先人達に教えを請うのだ!!
「コツ………そうね。まあ、あるっちゃあるけど。」
「本当ですか! なら、ぜひ教えていただかないでしょうか。」
「う〜ん……まぁ、いいか。いいよ、教えてあげる。」
よし! こういう時は人から、それも自分より上手い人から教わるのが一番だな。
「ありがとうございます。」
「じゃ、説明するからちゃんと聞いてよ。」
ここは、自分のためにも、教えてくれる音無さんのためにもしっかりと身につけないと。
「…まずは身体をこうピーンとさせて、投げる時には手をギューンとさせて、カーンと飛ばすようにする。」
「そうすれば、いい感じのところ行ってストライクが取れるってわけ。」
……………………………んん?
「……あの〜。……すいません、もう一回いいですか?」
「はぁ! 話ちゃんと聞いててよ。しょうがないな.'....」
「まずは身体をこうピーンとさせて、投げる時には手をギューンとさせて、カーンと飛ばすようにするの。」
「これで分かった?」
…いや、やっぱり分からない。
彼女からすれば真面目に教えてくれているのだろうが、それでも分からない。
特に、擬音のピーンとか、ギューンとか、カーンとか、ボンとか感覚的すぎて、全然分からない。
「何か分からないところでもあった?」
「え〜っと、そのピーンとか、カーンとか言うのは……その、どういったことを表しているのでしょうか。」
「あれ? 分からなかった?」
「ほらこうやって、ピーンってしてから手をギューンとして、カーンと投げれば...」
カッコーン!!
「ほら、ストライクになるじゃん。」
……やっぱり、分からない。
しっかり、ストライク取れてるから、教え自体は合っているのだが……もしかして、これって僕の方が悪いのか!?
「…結構分かりやすい音だと思うんだけどな。……あ〜、もしかして音の感じ的にカーンじゃなくてカコーンだった。それなら、私の説明が悪かったわ。」
いやいやいや、そこじゃない。そこだけど、そこじゃない。ここまで来ると、僕の理解力の無さに問題があるのではないかと思ってくる。
あと、分かりやすい音って何ですか? どれも僕初めて聞いたのばかりなんですけど。
「…ありがとうございます。何となくですが、分かったような気がします。」
「そう、なら良かった。」
そう言うと、彼女は打倒、優を掲げ、練習しに戻って行った。
さて、となると次は.....
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