冬が好きで夏は苦手

一華凛≒フェヌグリーク

熱中症で倒れたり、食中毒で倒れたり、発作で倒れた経験と繋がるからか、夏が来ると身構える。

だけど、少しくすんだ青い空も蝉の大合唱も足下で干からびて潰れているミミズやカエルやカニの死体も、自分の背丈を超えるまで伸びた雑草も、見ると笑っちゃう。

同時にとても憎らしい。


自分が倒れて、家の布団の上で潰された予定に泣いている時でも、生命を謳歌する声が聞こえる。

自分が倒れて、吐き気と熱とだるさと腹痛や頭痛に泣いている時でも、太陽が眩いくらいに世界を照らしている。

自分には一生縁遠いものがこの世の楽しさを訴えながら、蹲る私を追い越していく。


だから少しだけ、夏は苦手だ。

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冬が好きで夏は苦手 一華凛≒フェヌグリーク @suzumegi

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