第23話 メシの誘い

 スマホの画面が光ると和真からのメッセージ。

〈明日、メシ行かね?〉

 でも、今は返信をする気にはなれなくて手帳を手放せない。


11月5日

もう知っちゃったかな?言わないつもりだったけど、これで気づかないのもおかしいかもね

でも、お願い最後までこのままでいさせてください。知って変わってしまうのが嫌だから。最後まで普通に接してください。何事もないかのように普通に。

腫れ物に触るみたいなそんな扱いをしてほしくない。だから、ごめん。私はちょっと無理してでも貫くね。


 僕の予想していた通りだったし、僕が望んでいたことのはずなのになぜかもやっとしてしまう。知ってしまってお互いが謙遜し合ってしまうことをお互いに恐れた結果だ。

 飲みかけのりんごジュースは氷が溶けて味が薄まってしまった。


11月4日

ぐんと体力が減った。

もう立つのも疲れて仕方がない。

この腕ももう骨も同然かな。よくこれで生きてるなって思う。


11月11日

また痩せたと思う。ご飯もだんだんのどを通らない。

クリスマス何を頼もうかな。こんな時期にクリスマスなんて早とちりかな?

ここ最近、桜翔くんのことを考えてしまいます。会いたいなと。そばにいてほしいと。

この気持ちはなに?


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