第18話 無意識

 ガラス越しの街は忙しなく、この中だけが異空間のように思えるほどゆったりとした時間が過ぎていた。

 目の前にはプリンとりんごジュース。僕は何も考えずに注文していたが、どこかで彼女の面影を求めているのかもしれない。


9月5日

随分と体力がなくなった気がする。

いま、この世界から私がいなくなったらどれだけの人が私を思って泣いてくれるのかなtかどれだけの人が私のことを覚えていてくれるかなとか考えちゃう。

家族とこの病院でお世話になった人と、あと桜翔くんは覚えていてくれるかな。

桜翔くんには私のキレイなところだけを見ていてほしいな。だから、自分の口からは直接言わないでおく。


9月6日

自分の生まれ持った運勢に嫌気がする。

自分で選べるならもっと選びまくってきたよ。

もっと元気でみんなと同じような人生を送れるような。それをできるように選んでくるよ。

それができたら苦労しないね。私も。みんなも。


「お待たせしました。こちら自家製プリンとアップルジュースです。ごゆっくりどうぞ。」

 目の前に置かれたのはあの日見たのとまんま同じプリンとりんごジュース。氷入りだ。

 久しぶりに食べたプリンはおいしくて、どこか懐かしさまで感じた。

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