第10話 折り返し地点
手元にあったスマホは通知が来ていて、グループに招待されたことを知らせるものだった。
「もうゼミも始まるのか。」
そうぼやいても一人の部屋にすっと空気を一体化していく。
「買いに行ったな。そういうのも。それに僕、そんなに笑わない人だったっけ?」
近所のドラッグストアで買ったもので無知な僕には買うこともハードだった。それ以来、化粧品コーナーには立ち入っていない。後に知ったことだけど、僕が買ったリップは発売されてすぐで限定の色だったらしく姉が欲しかったのに手に入れられなかったと嘆いたぐらいだ。だから、もう店舗には並んでいない。
勝手に買って行った僕も悪いが怒られるぐらいならちょっと悪いことしたなと思い返す。
ここまで読み進めたものはいいもののやっぱり人の日記を読むのは後ろめたい気持ちがあったが、ここまで読めばもう思い出に浸るのが楽しくなってくる自分もいた。でも、これは何かのメッセージだと思って読み進める。
手帳の日付は既に1年の折り返しとなる6月になっていた。ここまでほぼ毎日書かれていたものが急に真っ新なページが続く。
6月8日
最近雲が多いのでそろそろ梅雨入りかもしれない。
雨はなんだか憂うつだし、低気圧とかも嫌だし始まってもいないけど早く過ぎてほしい。でも梅雨が明けたら夏だから何しようかな。
今年は浴衣が着たいな。花火なんか見ちゃったりして。
りんご飴とかも食べてみたいな。できれば屋台とか行きたいからそれまで頑張ろうかな
最近なんだか調子もいいのでこの調子ならそれも夢じゃないかも
6月14日
人生初のネットショッピング
浴衣着ようって思って浴衣を購入。桜翔くん喜んでくれるかな
せっかくなら着てお出かけとかしたいな。
やっぱり、お祭りとかかな?誘ってみていいのかな。
でも、ちょっと不調・・・。この調子なら一旦家に帰れそうだったけど、それも延期になるかな?天気のせいだと思いたい。
このまま何もなく終わることをいのるばかり
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