第4話 衝撃
4月5日
今日は検査の連続でした。
でも、知らない同世代の人と何年かぶりに話した日でした。森下桜翔さんと言うみたいです。無理矢理誘って2人でお茶してちょっと悪いことしちゃったかな?
私はいつものりんごジュース。彼はアイスコーヒー。
少し無愛想だったけれどとてもいい人そう。それに他人に興味がなさそうでなんとなく友達になってみたいなって思った。
離したことはたわいもなかったし、これといった内容のあるものじゃなかったけどそれでも聞いてくれたし、話してくれた。
同じ桜の字が入って同い年だったたから勝手に親近感が湧く気がする。でも、桜の時期生まれではないみたい。
最後に「また来てもいいですか?」って言ってたからちょっとだけ期待する。でも、期待はしすぎないようにする。
1日ってこんなに早く過ぎるんだね。それだけ楽しかったのかな?
僕たちが初めて会った日のことだ。検査入院だったんだと初めて知る。期待しすぎないってまだそんなに信頼関係もないときだったのかと思うと懐かしくなる。
自分でもあのときなんでまた来たいと思ったのかは今は思い出せない。
この日を境に内容にも変化があってやっとなにかが動き出したよう。文章が増えて、イラストなんかにも色が着くようになった。
4月6日
検査の結果が出た。当分は入院生活が続きそうです。そして、余命宣告されました。あと1年ぐらいらしいです。やっとかとも思ってしまう自分がいる。
窓の外見たら小さい体でランドセル背負ってうきうきしながら親と歩いてる子がちらほらいて入学式だったのかな。入学式に限っていつもここにいるから無縁だったな。
こんな風にまだ、我慢の生活が続くと思うとこの生活が明ける頃にはよぼよぼのおばあちゃんになってるかもね。
こんな生活が続くなら反抗してでもやりたいことやりたいな。そのほうが後悔ない人生になる気がする。
序盤にして余命宣告という衝撃的ワード。そんなことを一言も知らされていなかった僕は心を矢で射られたぐらいのダメージだ。それを知った上で読み進めるのも記憶を辿るのも気が引ける。
落ち着かせるためにゆっくりコーヒーでも飲もうかと立ち上がって、キッチンへ向かう。電気ケトルに水を注ぎ沸騰するのを待った。
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