第3話

誰一人として片付け上手だったことのないうちの家族。なかなかものを捨てられずやたらと物語溢れかえっている。しかも揃いも揃ってコレクター気質だったので色々ため込む。

ついにここにきていわゆる実家じまいなるものをしているわけだけれども、いろんなものが出てきた。父が亡くなった後、母は1人で片付けをしていたのだなと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。どれだけ泣いたんだろうなぁと。わたしの知る限りでは母が私の前で泣き崩れるようなことは一度もなかった気がする。それから祖母の所持品も出てきた。母の母の方。ノートがでてきて、おじいちゃんが亡くなった直後ぐらいの日記。日記といっても一言二言の文面だけれど。祖父はわたしが物心つく前に亡くなっているので全然覚えてない。でも祖母の書いていることは今私が感じているようなことそのもので。おそらく母も祖母が亡くなった時これを読んで今私が感じているようなことを感じていたのだろうかと思ったり。あらためて誰もが通らねばならない道でそこに例外はない。不思議なもので当時の祖母、そしてそのノートをとってあった母の気持ちを思って1人じゃないのだなと感じた。1人ではあるのだけれども。でも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る