第3話
「はぁ……はぁ……」
「はっ……はっ……」
二人で身体のあちこちに触れていた私たちはいつの間にか息切れしながら、ベッドに横たわっていた。
「雫、激しすぎるよ。はぁ……はぁ……」
「……沙苗こそ……私と同じくらい激しかったくせに……はっ……はっ……」
「元はと言えば、雫が私の下着を見たのがいけないんだからね……」
「あれは仕方ないだろ? どう考えても不可抗力だよ」
雫はベッドから体を起こし、私の方へ顔を向けてきた。
「ちょっとシャワー浴びてくるよ。沙苗と遊んでたら、汗かいちゃったから」
私は雫の額から出ている汗が額から頬に、頬から首元に、そして首元から胸元の下着へと流れ落ちるところを見て思ってしまった。
な、何か汗をかいている雫ってどこか妖艶さがある。男女関係なく惑わしてしまうって言えば良いのかな?
言葉では言い表すことが出来ないくらいに、雫から出ている汗が何だか特別綺麗にそして美しく見えた。それはモデルさんが出す色気と少し似ているような気がした。
「う、うん……いってらっしゃい……」
私は雫に悟られないように火照っている顔を腕で隠しながら言った。
雫は私が腕で顔を隠していることには不思議に思わず、下着のままシャワーを浴びに行ってしまった。
「……ちょっとは気付いて欲しかったな〜」
私はそんなことを呟くも、ベッドにあるぬいぐるみを強く抱きしめて目を閉じるのだった。
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「あー、シャワー気持ちよかったー! 沙苗も──って」
「……スヤ……スヤ……」
沙苗はさっきので疲れたんだな。ホントに体力が無いんだから──今度、一緒に運動でもするかっ!
「服も着ないで眠っちゃって……風邪でも引いたらどうするんだよ」
私はベッドでスヤスヤと寝ている沙苗にそっと毛布をかける。
「ぬいぐるみなんかぎゅっと抱きしめちゃって」
私は沙苗のハリがある頬を優しく指先でツンツンする。
「何でこんなに気持ち良いんだろうな。沙苗のほっぺたって」
その後私は沙苗の柔らかいほっぺたを数分間ずっとつつき続けた。
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私たちが出会ったのはそう、あの春の日──
桜の花が咲き乱れる高校へと続く並木道、桜のトンネルを歩いているかのように思わせる。
桜の花びらがそよ風にふかれて──飛ばされて──
そのままどこかへと翔んでいく──花びらたちは どこに飛ばされて行くかも知らずにただ咲き誇り、風の気分で飛ばされる。何て理不尽なのだろう。でも、それよりも理不尽なのは──私とあの少女を惹き寄せた神様だ──。
だけど、今はそれを少しだけ良かったって思えた。
だって、友達が居なかった私が初めて関心を持ったたった一人の友人だから……
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