第4話

 彼は目を閉じた。前日に一定以上の酒を呑むとおこる浮遊と沈殿がない交ぜになった感覚に気づき、目を閉じたままだとそれに侵されるような気がして慌てて目を開けた。昨晩の自分の行動に一つ一つ、仮初の整合性を与えていった。昨晩の自分と今の自分が連続した生物であるとは殆ど思えなかった。しかし、昨晩の彼と今の彼を繋ぎ止める唯一にして強大な共通点はやはり憂鬱だった。

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或る男 @Hana0203

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