第3話

彼は旅に出ることを決めた。彼がそう決意する時は現実に押し込められた自分とそうさせた世界を恨んだ時だった。そしてその決意が実現される事はその時も含めて一度もなかった。彼は旅に出る代わりに必ずその後人生が少し好転するまで、破滅的とも言える量の酒と煙草を呑んだ。彼は自分こそが真の人格者であると最期まで信じていた。

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