第2話

 彼は歯を磨こうと思った。彼は自分の歯にざらついたものがこびり付いている感覚を覚えユニットバスに入り歯ブラシを濡らした。暮らし始めてから丁度一年になる家のユニットバスと台所との間にある段差に躓き、人に見せつけるほどひどく自嘲的な声色で笑った。

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