パラオ #33

* 高梨英子の失敗


1998年 平成十年 6月

もう、あの少女に初めて会ってから10年程の月日が経ったのね…。

そう。忘れもしない。あのセンセーショナルな出会いを…。

今、思えば、あの時、あの場所で、あの子に会わなければよかった。

あの時の彼女は、今まさに神によって創り上げられた産まれたばかりの天使の様に見えた。そして私は、即座に彼女の存在に魅入られてしまった。

私は彼女を側に置く事を望んだ。まるで世界一のダイヤモンドの原石を手に入れたかの様に…。興奮していた。

あの時の私に冷静な判断は出来なかった。

そして私はその原石を手に入れた。磨いた。磨き上げた。

それはどんどん輝いた。輝きを増していった。

でも…。

私にはそのダイヤモンドがいわくつきである事を分かっていなかったのだ…。

彼女に備わっている煌めくその魅力は、労することなく彼女に全てのものを手中にさせた。


今日、ここに、鳩山今日子という少女は高梨今日子という淑女に生まれ変わる。

あの、感情に乏しく、人付き合いが苦手な、本の虫である我が愚息、高梨一朗に駆け落ちまでさせたこの女の魅力に脱帽せざるを得ない。

私の描いていたニュータカナシの政略、展望はこの女にことごとく潰された。

高梨家のニュータカナシはこれで終わるでしょう。

ニュータカナシの今後は、外資による群雄割拠に巻き込まれるでしょう。

結果的にあの女に会った事は、私に後悔しか残さなかったのかもしれません。

しかしながら、女には微塵の悪意も…、敵意も…、謀略も…、何もないのです。

女の存在自体が無意識のうちにこの結果を導いただけなのです。

故に、質が悪い…。

もし、あの少女に謀略があったとしても、たった一人で何が出来ると言うのですか…。

もし、たった一人の女性に負けたと言うのならば…、彼女の存在は人智を超えていることになるでしょう。

当たり前です。たった一人の女が、この巨大なニュータカナシを崩壊に導いたのなら、誰一人として女を止めることはできないでしょう。


あの女は、私が苦渋の決断で一朗との婚姻を許すと、その足で育ててくれた入院、療養中の祖母の元へ報告に行った。

その三日後、女の祖母は他界した。

あの女はこの先親族になる私達や会社の誰にも告げることなくさっさと機械的に育ての親である祖母の葬儀を済ませた。

そして次の日には、何もなかったかのように涙ひとつこぼすことなく寿退社となるニュータカナシの秘書室で次の室長になる人間への業務の申し送りを行っていた。

私は女の美しさの中にある得体の知れない青白い光を放つ底知れぬ冷たさを垣間見た感じがした。


不思議な事に女にとってはニュータカナシでは敵らしい敵が存在しない…。

女の味方か女に負けを認めひれ伏した者だけ…。

女の味方となった者達は粉骨砕身で女に仕え、ひれ伏した者達は対抗心を削がれ、女の一挙手一投足を遠巻きに眺めることしか出来ない。

たぶん、女は自分の中にある様々な一面を無意識のうちに使い分けることができるのでしょう。

その能力がたった10年程の時間で三代続いたニュータカナシを崩壊へと導くのです。

かくいう私も彼女に負けを認め、ひれ伏した者の中の一人…。

私があの日、あの時、あの場所で会った天使の様な少女は、堕天使だったのでしょう。


* 鳩山今日子の覚醒


「高梨社長が夢に出てくるんですよ。」と、高身長の社長のグラスにビールを注ぎながら屈託ない笑顔で言い放った。

「そうなのですか。」と、高梨社長は初心な文学青年のように頬を赤くした。

「はい。勝手に私の夢に出演してもらっちゃて…。すみません。」と、無邪気に返す。

「いえ、鳩山室長の夢に出れるなんて光栄です。」

「お世辞でも嬉しいです。」と、わたしはあっさりとその場を離れた。


全てはこの時の会話から始まった。

これは3年前の高梨一朗氏の新社長就任を祝う祝賀会での一幕。

わたしの率いる秘書室は、高梨一朗新社長取締役の信任決議を含んだ株主総会を滞りなく、つつがなく終え、社内一の功労者として、高梨一朗新社長に多くの重役達が祝辞を述べる中、特別に挨拶する機会を与えられた。

この場では、わたしは高梨一朗新社長にお祝いの言葉を述べることなく「株主総会の大役で夢にまで新社長が出るようになった。」と、わざとらしく笑い話を披露した。

そこには『夢に出てくるほど、あなたが気になる…。』風な感じを匂わせつつ…。

そしてこの会話は功を奏した。わたしはすぐさま、秘書室室長兼、ニュータカナシ取締役社長担当秘書に命ぜられたのだ。


これ以降、わたしの【高梨一朗新社長、籠絡作戦】は、いとも簡単に進んだ。

この時ほど、今の今まで、忌み嫌っていた生まれ持ったこの容姿に感謝したことはない。

初心な文学青年で奥手でおとなしい高梨一朗は人が変ったようにわたしに執着した。

「いつ何時に於いても私の側にいるように。」と…。

わたしが「それでは秘書室室長としての業務が疎かになります。」と、伝えても聞く耳を持たなかった。この態度でわたしへのご執心ぶりが伺える。

わたし達は、始業開始から終業まで、会議でも、食事でも、出張でも…。どこであっても、何があっても、誰が居ようと、ずっと一緒にいることとなった。

そんな関係は2年ほど続いた。


社内でも高梨一朗新社長の振る舞いは日を増すごとに噂の的となっていった。

特に女子社員達の間では毎日のトップニュースであった。

そんな高梨一朗の素行は、とうとう周りの重役達から母親である英子会長の耳に入ることとなる。

海外でこの話を聞いた英子会長は激怒したらしく、全ての予定をキャンセルし、急遽日本に舞い戻ってきた。

帰国した英子会長は、高梨一朗社長を呼びつけ、幾つかの縁談話と担当秘書であるわたしの解任を言い渡した。

母親である英子会長に逆らう事の出来ない一朗は条件付きで話を承諾する。

英子会長も一朗の条件を呑み、一朗の返事を信用した。


一朗の提示した条件は「次の出張だけは鳩山を同行させて欲しい。」と、言うものだった。

英子会長も『これで最後なら…。』と、渋々認めたようだ。

しかし、次の出張の地である新潟に着いた矢先、一朗はわたしを連れて姿をくらました。ニュータカナシ本社は大騒ぎとなった。

その頃、わたし達は金沢にいた。安いビジネスホテルに偽名で宿泊し、逃げ惑うわけでもなくごく普通の日々を楽しんでいた。

兼六園を散策したり、金沢城公園に夜桜を見に行ったり、香林坊へ買い物をしに行ったりと、本社の人達の心配を余所に、観光を満喫する普通の日々を送っていた。

滞在中に訪れた湯涌温泉の宿で一朗は「私は初めて、会長の言う事に逆らいました。」と、静かに切々と淡々と語り始めた。

「私は初めて、母に噓をつきました。」

「…。」

「私は初めて自分の意思で背く行動した。」

「…。」

「私のとった行動は子供じみている事は理解しています。」

「…。」

「でも、そんな事が出来たのも、あなたと離れたくないからです。」

「えっ…。」

「この先も、あなたと一緒にいれるなら、私は何も要りません。」

「…。」

「何一つ持っていない私など、あなたにとって価値は無いかもしれません。」

「…。」

「それならそうと言って下さい。」

「そんなことは…。」

「断られるのは覚悟の上です。」

「…。」

「でも…。これだけは言わせて下さい…。」

「…。」

「私と結婚して下さい。」

「わたしで宜しければ…。」と、間髪入れずに返事をしてやった。

一朗は目を剝いて驚いていた。

わたしは心の中でガッツポーズした。『鶴岡スーパーバイザー。わたし…、実現しましたよ。』と…。

「金沢行きは私の人生にとって、とってもとっても最高の家出になりました。」と、一朗は、混乱しているのか、興奮しているのか、急に額から噴き出した汗を宿のタオルで拭きながら、嬉しいのか、悲しいのか、分からない変な笑顔で子供のような感想を口走っていた。

『なんか変な人…。何を考えてるのか、何を感じてるのか、何を言いたいのか…、よく分からない人ね…。』

なぜだかわたしのこの思いは、わたしにとって懐かしさや安心感や温かさを感じるものだった…。


次の日、わたし達が湯涌温泉を離れ次の地へ向かおうとしたところをニュータカナシの人間に捕まった。そして、東京へ連れ戻された。

呆気ない逃避行だった。だが、成果は上々だった。


東京への強制連行後、わたしは無期限の自宅待機を命ぜられた。

高梨一朗の方は、ニュータカナシの代表取締役社長としての責務がある為、直ぐに職務に復帰させられた。


わたしの自宅待機が一週間に差し掛かろうとした時、玄関のチャイムが鳴り響いた。

「はーい。お待ち下さい。」と、とり急ぎ玄関に駆けつけてみると、そこには鶴岡スーパーバイザーが立っていた。

「お、おはようございます。鶴岡スーパーバイザー。」

そう言って反射的に体に染みついている謝罪時のお礼の姿勢をとってしまう。すると、深々と下げた頭の上で声がする。聞こえた瞬間、鳥肌がたった。

「おはよう。今日子さん。」驚きで心臓が止まる思いをした。

わたしは慌てて頭を上げた。そこには…。

「英子会長!おはようございます。」

わたしは今再び、前屈姿勢の柔軟体操かと思うほど深々と頭を下げた。

英子会長は引きつった愛想笑いを浮かべながら「一朗から聞きました。」と、低い静かなトーンで話し始めた。

『えっ、何を…?』

たぶん、ほんの一瞬だったけど、わたしには英子会長の口から次の言葉が発せられるまでの時間が永遠に感じられた。

「一朗の母として…。一朗との結婚は…。」

『否定されるなぁ…。』そう思うほかなかった。

「…認めます。」感情を押し殺した口調だった。

「えっ?あ、ありがとうございます。」この時、わたしは英子会長の言葉の意味を分からずに返事していたと思う。

「ただ、幾つかのお願いもあります。」

「はい…。」なんだなんだ?

「ひとつは…、式は挙げないで欲しい。」

「はい。」

「もうひとつは、あなたはニュータカナシを退職して欲しい。」

「はい。」

「それだけ理解してくれるなら、あとは二人で好きになさい。」と、言われると、英子会長は大通りに止めてあった真っ黒な大きな車の後部座席に乗り込んだ。

「ありがとうございます。」わたしは去って行く英子会長の後ろ姿にこれだけしか言えなかった。


「鳩山、おめでとう。」鶴岡スーパーバイザーが、心からの言葉をくれた。鶴岡スーパーバイザーは、ハンカチで目頭を拭っていた。

「あと、これを…。」と、鶴岡スーパーバイザーが、小さな紙袋をわたしに渡してきた。

「高梨一朗社長からのお預かり物です。」

中身を開けてみた。銀色の携帯電話だった。

「使い方がわからないです…。」わたしはまた、鶴岡スーパーバイザーに甘えてしまう。

鶴岡スーパーバイザーが電源を入れ真ん中のボタンを押す。…と。小さな液晶画面に高梨一朗という名前とその下に沢山の数字が並んでいた。

「電話帳でかけたい相手を見つけたら【発信】のボタンを押すのよ。」鶴岡スーパーバイザーに教えられるままにやってみる。

発信のボタンを押すと「プ・プ・プ」と、鳴ったあと、しばらくして「プルルルル・プルルルル」と、呼び出し音を奏で始めた。

そのコールが3回繰り返される前につながった。

「もしもし。今日子さんですか?」

「はい。」

「母…。いえ、英子会長のお話は聞いていただけましたか?」

「はい。」

「わたし達の結婚の許しをいただきました。」

「はい。」

「英子会長に納得していただくのに時間がかかってしまって、すみませんでした。さぞかし、不安になられたでしょう。」

「いえ。大丈夫です。」

「今日子さん。再度、聞いてもいいですか?」

「いえ。今度はわたしから…。一朗さん、わたしをお嫁さんにもらっていただけますか?」

「はい。わたしのお嫁さんになって下さい。」

「はい。」この瞬間『やりましたよ。鶴岡スーパーバイザー。』と、心の中で鶴岡スーパーバイザーに目一杯の大声で報告していた。


高梨一朗はまだ話したそうだったが「祖母に報告しに行く。」と、告げて銀色の携帯電話での通話を一方的に終わらせた。

前を見ると、鶴岡スーパーバイザーが笑顔いっぱいで号泣している。

『これで良かったんですよね。』『鶴岡スーパーバイザーじゃなくって、わたしで良かったんですよね。』直接聞くことなんてできない。

でも、鶴岡スーパーバイザーの顔が『良くやった。私に出来なかったことを実現してくれた。』と、言っていると、勝手に解釈させてもらった。

わたしはその鶴岡スーパーバイザーの顔を見て感極まった。わたしは鶴岡スーパーバイザーを抱擁した。

そして暫し声をあげて二人して泣いた。


英子会長、鶴岡スーパーバイザーがお帰りになった後、わたしは高梨一朗に携帯電話で伝えたよう、その足で大塚のお祖母ちゃんの入院先に行くことにした。

お祖母ちゃんは寝たきりの長い入院・療養の生活から、起き上がる事も困難になっていた。記憶も混濁している。わたしのことすらも分からない時がある。

今日もいつものように、仰向けにベッドに横になっていた。視線はずっと真っ白な天井を見ている。

わたしは耳の遠くなったお祖母ちゃんの枕元で、少し声を張り上げて話し出した。

「お祖母ちゃん、今日子です。分かる?」

「…。」

「お祖母ちゃん、今日は報告に来たの。」

「…。」

「お祖母ちゃん、わたし…、結婚するの。」

「…。」

「高梨一朗さんっていう方と結婚するの。」

「…。」

「一朗さんは、わたしの会社の社長さんなの。」

「…。」

「そのために…。会社は辞めなくっちゃいけなくなったけど…。」

「…。」

「多分、不自由はしないと思う。安心してね。」

「…。」

「それだけ…。」

「…。」

「あっ、そうそう。忘れてた。高梨一朗さんって土岐田次郎さんのお孫さんなの…。」

「…。」

「じゃあ、また来るね。お祖母ちゃん。」

「…。」

「…。」

「…。」

「…。」

「…。」

「…。」

「…。」

「…。」

「…ん。」

「…ん。…ん。」

「…ん。…ゔん。」

「…ゔわ。…ゔわっ。」

「…ゔわがぁ。」


* 目白紗千の衝撃


「あっ、そうそう。忘れてた。高梨一朗さんって土岐田次郎さんのお孫さんなの…。」

「…。」

「じゃあ、また来るね。お祖母ちゃん。」

「…。」誰だい…?

「…。」百々乃…?

「…。」結婚…。

「…。」めでたいね。

「…。」おめでとう。

「…。」で、誰なんだい…?

「…。」あとは…?

「…。」今日子。

「…ん。」今日子…。

「…ん。…ん。」今日子…。結婚…。

「…ん。…ゔん。」今日子…。と…。

「…ゔわ。…ゔわっ。」今日子…。と…き…。

「…ゔわがぁ。」今日子が…。ときた…。結婚…。馬鹿ぁ…。


* 鳩山今日子の虚脱


英子会長と鶴岡スーパーバイザーが訪問してきた翌日、わたしはニュータカナシ本社の人事部に辞職願の連絡を入れた。

人事部の方ではわたしの辞職についてはどこからか連絡が入っていたようで、既定路線の話であったらしく、あくまで事務的な手続きの話だけが返ってきた。

そして「退職届の書類を本日付で郵送するから、必要内容を明記、押印して全てが揃い次第本社ビルへ返信して下さい。」と、指示を受けた。

翌日、電話での話の通り、会社から封書が届いた。

内容を熟読し、書類への記入、押印、返還品の用意、などを済ませ会社指定の返信用の封筒に入れて次の日に郵送する手はずにした。

そして、郵便局へ行こうと決めていた朝早く、家の電話の電子音が鳴り響く。

「もしもし、目白でございます。」

「朝早くから申し訳ございません。こちらは大塚の▲▲病院でございます。」

「いつも祖母がお世話になっております。」

「その…、ご祖母様なのですが…。本日、未明にお亡くなりになられました。この度は、ご愁傷…。」

『お祖母ちゃん…。死んじゃったんだ。そうなんだ…。なぁんだ…。死んじゃったんだ。』至極冷静だった。

病院からの電話が終わると、その電話でわたしは太郎おじさんにお祖母ちゃんの死亡を連絡した。

太郎おじさんは「葬儀一切は俺がやるから…。」と、言って電話を切った。

その後、会社の始業30分前に人事部へ連絡を入れ、祖母の死と、忌引き休暇願いと、退職届の郵送が遅れることを伝えた。

事務的にこなす。何もかも、漏れ無きよう…。これも「どんな時にも、どんな事でも、動揺することなく任務をこなす。」と、叩き込んでくれた鶴岡スーパーバイザーの教育のおかげ…。

『今は、それが、ありがたいのか、ありがたくないのか、よく分からない…。』この後も、わたしの思考は低下し、体だけが機械的に動いていた…。


時間の経過は少しだけわたしに考える力を取り戻させた。

恩讐を超えた仕返しの呆気なさに気が抜ける。

『こんなことがしたかったの…?』自問自答。何度も。何度も。何度も。何度も。…。

一瞬、虚ろな意識が戻った時には、太郎おじさんが仕切ってくれた協会方式の葬儀の真っ只中…。

ずっとこの時まで我を忘れてた。涙一つ流れない。

協会方式の葬儀はこじんまり、ただ地味なだけ。故人の血縁者だけ、ただ寂しいだけ。

お坊さんも呼ばない。お経もない。お香典も受け取らない。

冷たくて、音も無い、色も無い、何も無い世界に迷い込んだような感覚。

その世界でカラー写真の笑ってるお祖母ちゃんの遺影だけが毒々しくグロテスクに見えた。それだけが鮮明にわたしの記憶に残ってる。

風も無く、煙突から静かに真っ直ぐと立ち上る白い煙。まるで風景画。非現実的な風景。

わたしはいったいどこにいるの?また、わたしの心はここにあらず…。


そんな状態でも、葬儀の翌日にはお役所的に行動し始める。ロボットのような笑顔を貼り付けニュータカナシ本社へ出社していた。

人事部に立ち寄った後、業務の引き継ぎ申し送りのため、秘書室に寄る。

次の室長となる者に素っ気ない引き継ぎを行っていると、そこに高梨一朗が現れた。

彼はいつものように、嬉しいのか、悲しいのか、分からない笑顔でわたしに近づいてくる。

その瞬間、わたしの心臓が激しく鼓動を打ち始めた。冷めていた血液が沸くのが分かる。体が熱くなる。

『温かい…。懐かしい…。お願い、わたしに触れて。そしたらわたし…、戻れるかも…。いつもみたいに…。』

わたしは求めた『今度はこの人がわたしを救ってくれる。』と…。そう思って立ち竦んでしまっていると…。

一朗は何も言わずわたしを強く抱擁してくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る