第18話
「えーっと。一年二組で十六夜君と同じクラスメイトの
気まずい雰囲気を仕切り直して、お互いの自己紹介から始めることにした。とは言ってもブレイブと逢真は認識があるので初対面の勘解由小路と逢真の二人だ。
「逢真ちゃんだね。僕は勘解由小路重音、よろしくね」
「よろしくお願いします」と互い頭を下げて挨拶を終える。
「えっとそれで...実は相談があって来たんです。ちょっと気恥ずかしい相談になるのですが...」
普段からしっかりと相手の顔を見て話す逢真であるが、恥ずかしさからか少し頬を赤らめて俯いた姿勢になってしまった。声色も段々と落ちていき、その心情がみてとれる。
「僕たちで力になれる範囲なら何でも言ってくれ。他言はしないし、笑いもしない」
うんうんと頷いてブレイブも話に割って入る。
「その通りだ。何でも言ってくれ!困っている人がいたら寄り添う、それは人として当たり前のことだ」
指と指をモジモジと絡めたり突っつきあったりして数秒の無言。覚悟を決めたのか面を上げて大きく息を吸って喋り出す。
「その...実は私は普通の人には見えないものが見えていて、人間とか生き物の魂を見ることができるんです」
「魂か...ふむ」
確かにそれは他人に相談しにくい事案だ。同級生に言ってしまえば厨二病と馬鹿にされるのは目に見えている。かと言って大人に言っても理解は示さない。霊媒師やらそっちの業界の人間は本物がいる可能性もあるが怪しい物を押し売りされたり、法外な値段をふっかけられる可能性もあるので相談しにくいだろう。結果として彼女が行き着いたのは厨二病みたいな集団の超常現象研究部なのだろう。少なくとも部活見学で内情を見る分には損はないし、信用できる人間がいれば相談をする算段だったのだろう。それにしても判断が早い気がするが何か理由があると踏んでいる。
「魔眼の一種でしょうね」
どう言った理由でそれを相談しにくい来たか理解はできないが勘解由小路と同様に彼女の目は真剣そのものだ。ならば此方もしっかりと対応するのが筋という物だ。前世の知識であり、今生の世界にも当てはまるかは分からないが自身の知識を伝える。
「魂ということは生死に関わる事を見通すことができる種別と考えて間違いないでしょう。御伽林さん、ひょっとして死者の魂も見えるんじゃないかな」
「そ、そうだよ。よくわかったね...部活入るの否定してたけど実はオカルトに凄い興味あったの?」
いや、そういった訳ではないけどと否定をしておく。
ブレイブの予想通り、死者の魂も彼女は見通すことができた。推測にはなるが彼女の悩みは霊障なのだろう。霊そのものは見えずとも、魂だけを察知する事ができてしまう。結果として霊が見える事を悟られてしまい、何らかの干渉を行ってくるのだろう。
(つまり、この世界でも霊...悪霊などがいる訳だ)
前世の霊とは違い、この世界の霊は殆どの場合認知できない存在として顕在化している。大抵彼らは死ぬまでに強い念を残してしまい、天に昇る筈だった魂が想いに縛られて現世に留まってしまう。
大気中の魔力が薄い世界では思念体として完全な状態で留まることが難しいのだろう。多少なら力を持っている為、弱い魔眼を持った人間が認識できる存在だと脳内情報をアップデートした。
「何やら力になれそうな雰囲気だね。僕の方も大事けど、まずは目の前の彼女から助けよう。異論はないだろう?」
「ええ、勿論です。御伽林さん、その眼で何があったのか俺たちに教えてくれ」
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