第15話
「超常現象研究部...」
三日前に御伽林と話していた部活だ。まさかそこの部長から勧誘を受けるとは思わなかった。よくこんな怪しい部活が申請が通って部室が与えられたと感心したくなる。その内御伽林から聞いてみようと考えていたがそれよりも先に自分で体験する機会に恵まれた。
「何を研究してるのでしょうか」
「そんな堅苦しく話さなくていいよ。そうだね、君は魔法や超能力を信じているかい?」
「...あまり信じていませんね」
超能力は兎も角魔法は実在する。転生してから人気のない場所で一度前世に使えた魔法をやってみたが問題なく使うことができた。
しかし、この世界においては魔法は信じられていない。フィクションとしては存在しているが現実にはない事象であるという共通認識がある。なのでブレイブもひけらかす事はなく他者に隠しながら生きている。
故に信じているかと聞かれたらNOと突き返す。だが、この世界の現象として魔法を操る事はできるのでごく少数の人間が魔法を使えるという認識は心に留めておいている。火のないところに煙は立たない。過去の人物が魔法に辿り着いた結果、フィクションの概念としてこの世界に定着したと思われる。ひょっとしたらこの部活もOBの人間が魔法という現象を偶発的に起こしたのが起源かもしれない。
「だよねー。まあ普通は信じない、だからみんなこの部活を胡散臭いって馬鹿にするわけ。それでも超能力者は実在する。これだけは確信をもって言えることだ」
魔法の方をあてにしていたかと思ったがどうやら違うようだ。彼女は超能力を信奉している。
(まあ、超能力も魔法も変わらないか)
別の区分に分けているが、フィクション出しから存在しない技を現実で起こすことができるのなら超能力も魔法も同じような物だろうと解釈する。真偽は不明だが彼女の目は真剣そのものだ。嘘をついている人間のそれではない。
(只の思い込みって訳でも無さそうだな)
目を見て理解した。彼女はブレイブを疑っている。どういった経緯でブレイブが超能力の類と断定したのか不明。ただその事を念頭に置いた上でこの部活に勧誘をしているのだろう。
「何か実例でも見たんですか?」
どうせ疑われているのだあからさまに探りを入れてみる。
「まあね。二年前の部長がこの部活の創設者にして本物の超能力者だったからね」
「っ!?」
以外な返答だった。まさか少し前の世代にそんな人間がいたとは思っていなかったからだ。
過去の研究資料などで簡単な魔法を起こせるようになったとかその辺が落とし所だと考えていたブレイブは驚きを隠さずにいた。
「驚いているねー。つまり僕は超能力者の特徴を理解しているって訳」
合点がいった。詰まるところブレイブのこれまでに起こした行動の中でOBの超能力者との共通点があった。それが理由で現部長である勘解由小路が勧誘してきたという訳だ。
(というか俺と同じ共通点があるなら魔法使いかなんかじゃないのか...?)
若干そこの認識にズレがありそうだ。もしその超能力者であるOBと連絡が取れるなら実際に目にしてみたい気持ちが少し疼く。
「じゃあ超能力者がいれば見抜けるって訳ですね。ところで先輩、その超能力者の方とは未だに交流はあるんですか?少し、興味が湧きました」
マジの超能力者なら面白そうだから見てみたい。そんな軽い気持ちだったのだが、返答は酷く重苦しいものだった。
「無理だよ。先輩は卒業式の一ヶ月くらい前かな、失踪してしまったんだ」
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