第14話
「す、凄すぎる!」
サッカー部に体験入部をしたブレイブは大活躍であった。基礎体力を鍛える為のランニングを軽々とこなし、筋トレは誰よりも早く且つ負荷をかけて行った。基礎練習に入ればドリブルやパスなどの技術も先輩からどんどん吸収していった。
最後の軽い練習試合ではオーバーヘッドシュートを決めて辺りを沸かせた。キーパーをやればシュートの全てをセーブする。無敵の超人レベルで顧問の先生からは是非入って欲しいと懇願された。
二日目はラグビーの体験入部。ここでは圧倒的な筋力と速力を見せつけて他を圧倒して見せた。自分よりも背丈が大きく筋骨隆々とした
当然一騎当千の活躍をしたブレイブをラグビー部の先輩方は喜び、是非とも入ってくれと熱烈なオファーを受けた。
三日目はバスケ。
ここまでくれば語らずともわかるだろう。ドリブルは誰にも奪われず、軽々とダンクシュートを決めて相手のシュートが外れた際のリバウンドは漏らさずに確実に奪い取っていた。
隣で練習をしていた女バスからは黄色い歓声が上がり、モテモテであった。
圧倒的な身体能力を持つ為、ある程度力をセーブして使えばどの運動でも簡単に主戦力になれるどころか、オリンピックで金メダルを狙える。転生した故に勇者の力を持っている。高校に入って体験入部を繰り返してこれはちょっと卑怯なんじゃないかと今更ながら思い始めた。
(プロがアマチュアのチームに紛れ込んでいるような感じだもんな...敢えて運動部をやめておくか?)
囲碁や将棋といったボードゲーム辺りの部活があればそれに入ろうかと悩み始める。身体能力の差ではなく頭を使った競技なので卑怯ではないだろうと考えた金曜の放課後。階段を降りていると一人の女子生徒に声をかけられた。
「やあ、君が噂のブレイブ君だね」
「はい、そうですけど」
声をかけてきたのは髪の毛が地面に着くのではいかと思う程に長く伸ばした女性の先輩。上履きの色で学年が識別できるようになっているので先輩だとわかった。一年は緑、二年は赤で三年は青だ。彼女の靴色は青色なので三年生ということが窺える。
「立ち話はなんだ、ちょっとついてきてくれるかな?」
「はぁ」
何かの部活の勧誘だろうか。特段興味があった訳ではないが、折角なのでついて行く事にした。案外面白い感じの部活動かもしれないと期待を込めて。
階段を降りて一階。玄関近くの階段の直ぐ脇には他とは違う大きめの扉で閉められた部屋がある。ブレイブはそこに案内をされ、恐る恐る入っていった。入って直ぐに短めの段差があり、奥は物置程度の小さな部屋だった。
「先輩。ここは一体なんの部活なんでしょうか?」
中には色々な本や雑誌に資料が敷き詰められた本棚にPCが一台。端っこには大きな紙が幾つが丸め込まれており、壁にはこの地域の地図などが貼ってある。全くなんの部活か予想できない。ボードゲームの類の物は置いてないのでちょっと特殊な部活だと伺える。
「あぁ、言ってなかったね。これは失礼した、先ずは自己紹介からしよう。僕の名前は
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