第10話
先輩二人は兎も角、赤髪は流石にそのまま放置するわけにはいかないので倒れていたといって保健室で寝かせる。
「あーあ。初日からこんなことになるとはね」
この男が目覚めるまで待ってやる義理はない。しかし、不良仲間と勘違いされて噂を流されてしまうのを危惧して誤解を解こうと考えたのだ。流石に一度寝れば冷静にはなるだろう。
「ッ!ここは?」
2、30分も待てば気絶した赤髪も目を覚ました。
「保健室だよ」
勢いよく飛び上がった困惑した赤髪に現在地を伝える。直ぐに場所は理解したようだが怪訝な顔でこっちを睨みつけてきた。
「なるほどな。で、テメェは何のつもりだ?襲ってきた奴がわざわざ保健室に連れてくってどういう了見だ?あぁ?」
おとなしい顔はあっという間に潜み、怒髪天へと返り咲いた。今にも立ち上がって喧嘩をしてきそうだったので慌てて宥めて誤解を解く。
「いや、誤解だよ。俺は君が先輩方に絡まれてたから助けに入ろうとしただけなんだ」
赤髪は腕を組んで考え、一瞬の間ができる。どうやら自分の中で情報を整理して結論を出しているようだ。
「確かにアイツらと一緒に因縁つけてきた訳じゃなかった。ごめんなさい」
気持ち悪いぐらいに性格がひっくり返った。怒りに満ちた鬼の形相も形を潜め、今は大人しい陰りのある少年だ。本当に申し訳なさそうな顔と誠心誠意込めた謝罪が急に来たので思わず面食らってしまう。
「誤解が解けたなら良いよ。俺は十六夜勇者。君は?」
「俺は
「そうか、感情の折り合いをつけるのも大切だ。もしその性格に困っているのなら助けになるよ、これから宜しくな幻燈」
幾ら何でも怒りによって周りが見えなくなりすぎるていると思い、お節介かもしれないが力になれると伝えた。相手の受け取り方次第ではあるが上からの物言いに近いので不快にさせないか胸中では不安であった。
「ありがとう。えっと、ブレイブ君。俺の為にそう言ってくれるのは素直に嬉しいよ。もし、助けが必要なら君に相談するね」
どうやら相手の地雷は踏み抜かなかったようだ。挨拶もそこそこにして保健室を発つことにした。
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