第6話

 学校に到着をしたブレイブは玄関の直ぐそばに貼られた一年生のクラス割表を確認しにいく。


「うわ、凄いなこれ」


 ごった煮状態だ。沢山の新入生が集まって無理矢理押しのけでもしないと自分のクラスが確認できない。ブレイブは普通科であるので一から三組のどれかであるはずだ。因みに他には3つほど学科があるが、基本的に関わる事はないだろう。


「俺のクラスはー2組か。それにしてもまたアイツと一緒とは...仕組まれてる?」


 二組のクラス割に十六夜勇者と書かれていた。五十音樹で上から数えた方が早いのでクラス割は昔から自分の名前が見つけやすくて楽だと思っている。


 一年生は四階に自分達の教室がある為、階段を登っていく。中学の時は学年が上がると階が上がったのに高校では下がっていくものかと少し不思議に感じた。


(どうせなら上がっていく方式がよかったな)


 特に意味はないが学年毎に上がっていく方が楽しそうに感じてしまう。そんなくだらない事を考えている間に教室の前につく。今日から一年はこのクラスで過ごすことになる。どんなクラスメイトたちがいるのかと期待いっぱいで教室のドアを開ける。


 ガラガラと横にスライドさせれば音が鳴っていっせいにこちらを見てくる。先に着いていた生徒たちも新たなクラスメイトの来訪に心を躍らせているのだろう。黒板に貼られている自分の机の場所を確認して向かう。既に後ろの席には生徒が座っており、早速挨拶をする。


「おはよう。俺、十六夜勇者いざよいぶれいぶっていうんだ。1年間宜しくな」


「あっはい。よ...ろしくおねがいっします。俺は瀬戸内誠司せとうちせいじ..です」


 少々暗めな少年と言った感じであった。目が隠れるくらいに髪の毛が伸びており、あまりこちらと目を合わせようとしない。声にはきもない。ちょっとした人見知り、そう印象づけた。だが、体格はかなり良い。立てば180くらいはありそうで肉体もガッチリとしている。


「おー瀬戸内って呼んでもいいか?」


 反応してくれたことが嬉しくて笑顔で言葉を返す。


「あっはい。ご自由にどうぞ...えっと十六夜...くん」


「呼び捨てでいいよ!これから一年同じクラスなんだしさ」


 早速仲良く出来そう友人と出会えて感極まる。嬉しくて直ぐにスマホを取り出して連絡先の交換を行なっていると、背後から声をかけられた。


「よぉ!ブレイブ、また同じクラスだな。ここまでくると最早腐れ縁だな」


 ブレザーを着崩しているチャラついた男。朝霧爽太あさぎりそうた。中学校の1年の頃からずっと同じクラスであり、出席番号の1番と2番はずっとこの二人であった。そんな訳で毎回後前の席になる。同じ高校に通う事は知っていたが、また同じクラスとは予想外だった。


「だな。俺もクラス割見て驚いたよ。じゃ、4年目も宜しくって事で」


 応よ!と拳を交わす。そろそろ時間になるので話しをやめて準備をする。隣の席の女子はまだ来ていないが、大丈夫だろうかと心配になる。もう間も無く刻限。ざわつきも収まり始めた中、廊下をけたたましく走る音が響く。そして勢いよく開けられるドア。


「せ、セーフ?」


 汗まみれの少女。御伽林逢真おとぎばやしおうまとの初対面であった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る