町にダンジョンが現れました

しいず

町にダンジョンが現れました

 数年前に俺の住む田舎町の町有地に突如としてダンジョンが現れた。

現れた時は大騒ぎになったが、今はそれが当たり前になっている。

調査の結果、明らかな人工物であるが危険性もない上、異世界に繋がっているとか

モンスターが合われたとか、そこから話が盛り上がる訳でもなかった。

そのため、国は町有地に出来たのでダンジョンの管理を町に任せる事になったが

問題はないと言っても、取り扱いに困ってしまった。


 しかし、町長は都市の割にYouTuberなどに配信者に詳しい人

だったから、配信者に配信してもらえばいいんじゃないかとなった。

もちろん、使用料は取るがそこまで高くない。

ダンジョンにある物は持ち帰り禁止、破壊等の行為はもちろん禁止。

それらを守れば後は自由である。

ただ、配信をするにも奥へ入ると電波が届かないため、行ける範囲は限られている。

そのため、出来る事が限られるが、物珍しさから配信者が集まって来た。


 はじめのうちはダンジョン内で単に雑用したり、無意味にゲーム配信をしたりと言ったものであった

とはる配信者が「ダンジョンをしっかり探索してみた」という番組を作った所

最初の調査では見つからなかった通路や最奥であるされた部分から新しい通路が出来ている事が判明。

つまり、ダンジョンが未だに拡大いたのである。

さらに、一定の部分から先は入る度びにダンジョンのマップが変わっていることも判明。

これがきっかけにダンジョン探索系の配信者が増えて行ったのであった。


 ただ、配信者が増えると色々と起こってくる。

例えば、マップが変わる瞬間を撮ると言ってダンジョンに入った複数の配信者が

その瞬間を撮影した物の、撮影した瞬間配信が途切れて行方不明になった。

また、ダンジョンの破壊行為もやはりでてくる。

ただ、破壊された部分は何故かすぐ修復されて元に戻ったので、さらにこれが話題になった。

そのため、このダンジョンは一体何なのかと言う事がネットでも盛り上がっている。

 

 ただ、話しが大きくなると、無意味にダンジョンに来て周辺を荒らしていくものも増える。

また、人が集まると商売を始める人も出てきて、また人があつまる。

なので、規制またはダンジョンを封鎖するべきという規制派と

経済効果があるので最終的には町全体が潤うので、ルールを作って続けるべきだ

という意見で二分したが、町長は侵入可能エリアはダンジョンが確実に変化しない部分までとし

警察や職員の巡回を強化し、野次馬が集まらないようにした。


 しかし、規制したところで守らない配信者はもちろんいる。

行方不明者は流石に出なくなったが、無断で奥まで行って炎上したり

すぐ修復されるのでわざと壁などを破壊する行為が多発。

また、屋台等の無断営業、無断で大勢の人を集めたライブ配信などなど

ダンジョン以外の所での行為も問題なってきたて、再び町が二分するお騒ぎに。

この騒ぎはネットで炎上系インフルエンサーや配信者によって取り上げられるようになり

何時しか、こちらの方が話題になって、ダンジョン配信はどんどんと下火になって行った。

もちろん、配信する人はいたけれど、以前ほどの視聴数も稼げなくなり自然と減っていたのであった。


 そして、町を二分騒ぎの結果がでたが、それはダンジョンを閉鎖すると言う事だった。

経済効果よりも悪評の方が広まる方がマイナスと町長が判断したのであった。

閉鎖は翌年4月となったが、発表した日付の翌週より新規の申請及び使用許可はしないとなった。

すでにしてある許可も10名ほどであり、新規の申請は完全に止まっていたため影響は特になかった

ただ、その10名には有名な配信者達が含まれており、それが最後の話題になった。


 有名配信者のライブ配信が始まったが、やる事はダンジョンの中で

ただ単に雑談をするという他愛のない企画であったが、逆にそれがよかったらしく

視聴者数はかなりいたらしい。

らしいというのは、俺は見なかったためである。

ただ、聞いた話ではダンジョンに関する話題も出たそうだけ。


 ダンジョン系の配信は色々あったけど、モンスターが出たり、宝があったり

異世界と繋がったりする、いわばお約束がなぜなかったのかはみんなが疑問だった。

壁を壊しても即座に修復されるのは、明らかに地球の技術ではないので

魔法か超テクノロジーのどちらかでしかない。

この事は大学や研究機関によって調べられたが、普通のコンクリートと変わらない子が判明。

さらに、持って帰ったサンプルは粉状にしても、元に戻らないのでさらに謎が深まったそうだ。

なので、このダンジョンは実は生物で、構造が変わるのは生きてるからで

行方不明になった配信者は食われと言われているが、証明するものはない。

結局、皆いろいろ想像を膨らましたが、答えは出ず、誰が何のためにこのダンジョンを作ったのかは謎のままであった。


「ダンジョンに振り回される人間を観察するために、宇宙人か異世界の人間が造ったじゃないかな。

行方不明者が出たのは残念だけど、話題にされなくなったらこのダンジョンは消えるかもしれない」


っとその配信者入って、配信を終えたのであった。


 そして、ダンジョンが閉鎖される日が来たが、その時は最後の人して

ダンジョン系配信をしていた配信者が最後の日と言う事で、無断ライブ配信を行ったが

それが最後のダンジョンの配信であり、最後の炎上であった。

閉鎖後も一部オカルトファンの間ではしばらくは話題になったが、2か月もすればダンジョンの話題はほぼなくなった。

そして、話題にならなくなったと同時に有名配信者が言ってどおりにダンジョンが消えたのであったが

最後にダンジョンからの配信をした有名配信者も同日に「一身上の都合で引退します」

と一言だけSNSに投稿してそれ以降ネットだけではなく、リアルからも完全に消えてしまったのであった。


 この出来事でネットは「あの配信者がダンジョンを作った本人で、正体は異世界人か宇宙人で人類を試したんだ」っとなってお騒ぎになった。

中には「単なる偶然」という人もいたが、最後の言葉どおりになったので

「最初から仕込みだったのでは」とか「宇宙人か異世界人消された」とか

色々盛り上がったが、この話題も1か月もすれば話題にすらなりダンジョンの事はすっかり忘れされれたのであった。


 ダンジョンがあった場所は元通りの町有地になって、今は単なる更地。

ダンジョンが現れて町は儲かったかというと、なんとかトントンだったらしい。

結局、誰も得した人間はおらず、一体あのダンジョンはなんだったんだと

学校帰りに俺は町有地を見て思ったが、やはりこの町は何もなくて静かなままでいいんだと思い家に帰ったのであった。

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