【番外編】祖母の話

またまた番外編。

っていうか順を追って思い出すというのが

僕は苦手でね、そんなの仕事以外だとごく稀。

大体が突発的なものが多いからそこは勘弁を。


今日は健在な母方の祖母が話してくれた話を思い出したから話そう。

健在と言っても左大腿骨が折れもう5年以上になるか?

もう歩けやしないし、施設に入ってる。

認知症もかなり進んでて初孫の僕の顔も名前も覚えてることが少ない。

最近は会うと僕のことを叔母か従姉妹と間違えることが多くなった。

話してもぼーっとしてる、そりゃそうだ。もう90代半ばになる人だ。


僕が中学生の頃までは、あれこれ小言をネチネチ言う人で

祖父の自営業の経理をやってて小学校1か2年の僕が割り算ができないことを

あれこれ言われたのをよく覚えてる。父方と違い

優しいが少しめんどくさい人だった。


そんな祖母から聞いた一つの話が印象に残っている。

祖母の知人が舌癌になり、切らざる得ない状況になった話。

当時の医療では舌を切ったらもう話せない、食べ物の味も感じる事はできない。

がん治療が未発達だった時代だった。


その人は舌を切る前日。

最後におまんじゅうを泣きながら食べたという

これが味を味わえる最後の晩餐、皮肉なものだ。

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