第4話 教室に到着
初めての友達が出来たレイは、アルに王都の美味しい食事処を聞きながら教室へと足を進めていた。
「実は、庶民的で王都の住民に愛されるようなお店はあんまり知らないんだよね。
一応貴族として食事をする場所は選ばなければならなかったし、あんまり自由に出歩くことも出来なかったからね。
でも、噂程度だけど『ガイア食堂』って言うところが美味しいっていうのをメイド達が話しているのを聞いたことがあるよ。」
「あー、やっぱアルは貴族か。敬語でも使った方がいいか?・・・いや、いらんか。アルだし。
てか、俺以外にただの平民っていんのか?なんつーか、身に纏ってるオーラじゃないけどよ、育ちが良さそうな奴らばっかなんだよな、この学園。」
「もちろん敬語なんていらないよ。僕たちは友達じゃないか。
あと、さっき説明し忘れたけどもちろんレイみたいな、所謂一般庶民はいないと思うよ。
幼少期から勉強に武芸に魔法にって集中して、その中でも一握りの天才達が入る場所だからね、ここは。自分で言うのも何だけどさ。
だから、普通は貴族や大商人の子供しかいないんだよ。金銭的にも時間的にも余裕があるからね。
だからこそレイの存在が不思議で、とても面白いんだよ。普通の平民っぽくもあるんだけど、何故か不思議な吸い寄せられるようなオーラがあって、尚且つ貴族にも見えない。」
「自分ではよくわかんねぇけど、そんなに言われて悪い気はしないな。もっと褒めて良いぞ。
・・・いや、アルは本当に褒めてきそうだから良いや。やめろよ?冗談だからな?」
「ふふふ、その言葉が無かったら僕の全ての語彙力を使って褒め称えていたさ。」
危ない危ない。アルは冗談が通じないタイプじゃなそうなんだけど、こっちが嫌がることを知っていながらそこを突いて楽しみそうなんだよな。
出会ってそんなに時間が経ってないのに、大体こいつのことはわかってきたな。
・・・てか、なんだ?さっきから。さっきまで目血走らせてた奴らの一部が呆けたような顔でこっち見てるな。
アルにアイコンタクトでそいつらの方を指すと、面白そうに微笑んでいるだけだった。
・・・ま、あとで聞いてみるか。
その後もアルに学園についてや貴族についての話を聞きながら人波に流されるがままに進んでいくと、教室というイメージとかけ離れた、講堂と呼ぶべき場所へとたどり着いた。
「流石に50人もいるとでっかい場所なんだな教室も。
てか、集められたってことはなんかするんだよな?何するんだ?またおっさんの長話聞くのは勘弁なんだけど。」
「今日だけ頑張ろうよレイ。それに、今年一年間の流れとか教えてくれるよ。
いくら授業の出席は自由だっていっても参加しなきゃいけないイベントなんかもあるからさ。」
「はぁ、まじかよ。出なきゃ退学になるのか?」
「いや、どうしても外せない用事がある場合は大丈夫だったはずだよ。
そもそもここの出席自由の制度は、通う学生達が貴族や大商人なんかの上流階級の者ばかりで、家の事情で授業に出席できないことが多いことから始まってるからね。
・・・だからレイみたいな理由でこの制度を最大限活用しようとする人はいないんだよね本当は。」
「お褒めの言葉をどうも。
そんなことより、この学園150人しか学生いないのに無駄にでかいな。」
「まあ、大陸最高峰を謳うだけあって設備も充実してるんだよここは。」
「後で図書館だけはどこにあるか調べとかないとな。マップ見とこ。」
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