第3話 最高の学園

「僕はアルバート。アルって呼んでくれると嬉しいな。これからよろしくね。」


おぉ、思ったより良いやつそうだ。なんで俺のことをずっと見てたのかはわからないけど、最低でも会話がしっかり成り立ちそうで安心した。


「よろしくな、アル。ところで、周りの奴らの目が血走ってて怖いんだけど、何で皆がこんな状態なのか知ってるか?」


「学園初日で気合が入ってるだけじゃないかな?皆ここに入るために今まで頑張ってきてたわけだし。逆に、そこまでレイが自然体でいられるのはどうしてなんだい?」


「どうしてかぁ。うーん、俺はこの学園のことよく知らないからなのかもしれないな。

にしても、たかだか高等学園の入学式だろ?周りが気合い入り過ぎてて、意味がわからんわ。」


俺がそう言うと、アルは一瞬考えるそぶりを見せた後、何故かニヤッと笑い、


「・・・あ〜、そうゆうことか。レイはこの学園のことをどれくらい知ってる?

あと、なんでこの学園に入学したんだい?」


「んー、自由な校風ってことと、講義の出席日数が少なくても許されることくらいか?

後は、さっきのじいさんが名門だなんだって言ってたから、多分かなりレベル高めの学園なんだろうなってことをさっき知ったな。」


「・・・ふふふ、はっはっはっ。いやぁ、誰かに対してこれほど面白いと感じたのは初めてだよ。レイは面白いねぇ。」


き、気持ち悪っ。前言撤回だ。やっぱりこいつが1番やばい奴だったかもしれない。


俺の初めての友達が出来たと同時にいなくなったかもしれないぞ。もしかして、ここにまともなやつはいないのか。


「おっと、引かれちゃったかな?

でも、皆この学園に必死で努力して入ってくるんだ。そんな中、ここがどんなとこかも知らずに、この学園に入るための対策をするわけでもなく入れたってことだよね?レイは。

ここにはそんな人普通いないんだよ。だから、とても面白いというか興味深いんだ。レイの存在が。」


「あー、それはそうかもしれないな。実際俺は試験の対策なんてしてないし、なんから対策の仕方もわからないからな。

まあ、俺の話は良いんだ。そんなことより、この学園について知ってることを教えてくれよ。特に、授業の最低出席日数が1番知りたい。」


「ふふふ、レイは本当に変わってるよねぇ。普通は高等学園に来ると皆に置いてかれないようにとか、もっと上に行くためにとかで授業に進んで出るものだけどね。

あぁ、出席日数の話だったね。ここには最低出席日数とかないよ。なんなら0でも良い。

でも、前期後期の期末テストで点数が6割をきると即刻大学になるけどね。ま、レイなら大丈夫だと思うけど。

というか、レイは授業に出ない余った時間を何に使うんだい?」


「ゴロゴロしてるに決まってるだろ。わかりきったことを聞くなよ。」


「・・・え、それだけかい?」


「それだけとは何だ。俺にとっては最重要な行為なんだよベッドでゴロゴロするのは。

・・・まあ、正確にはその時やりたいことをしたいって感じだけどな。

俺は基本だらけてるのが好きだけど、何かをしたいと思った時にすぐに行動に移せるようにまとまった暇な時間が欲しいんだよ。」


「それなら理解できるよ。

あ、レイが何かやりたいことができた時、たまに付いてってもいいかな?なんだか面白いことが起きそうな気がするんだよね。」


「まあ良いけど、あんまり期待するなよ?何が面白いかなんて人それぞれだからな。」


「もちろんさ。

あぁ、あとさっきも言ったけど期末のテストで点数は取らなきゃいけないから、しっかり勉強はしなきゃ駄目だからね?」


「当たり前だろ。勉強が特別好きってわけじゃないけど必要ならやるよ俺だって。

何の対価も無しに自由に過ごせるとは流石に思ってないしな。」


「・・・うん、大体レイの人となりがわかってきた気がするよ。

改めてこれからよろしくね。」


「あぁ、よろしくな!」


変なやつだけど、そんなに悪いやつじゃ無さそうかな?


記念すべき俺の友達第一号という輝かしい称号をこいつにくれてやるとしよう。


なんで村では友達1人すらも出来なかったのか不思議でならないなぁ。まあ、同年代の奴が少なかったのもあると思うけど。


ま、やれば出来るってことだな。

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