第17話 一ヵ月


 柚月と菊璃が僕と出会って一ヵ月が過ぎた。

僕の家の中にあるモノなら粗方使えるようになっている。

洗濯機なんて菊璃が初めて使ったときには感嘆の声が溢れんばかり湧いて出ていたのだ。菊璃は実用性のあるモノに強い関心を示していた。

 逆に柚月はこういった実用性のあるモノには興味がなく、娯楽の物に強い興味を示していた。初めて触ったノートパソコンも面白がって色々されたものだ。今ではブラインドタッチなんてお手の物。習得速度が凄まじい。


 菊璃もPCを使うのだが、インテ―ネットで今の日本の情勢だったり歴史を調べる程度だが、柚月はほとんどゲームばかりだ。本当に柚月は要らないことばかり覚える。インターネットの履歴を見られた時なんか恥ずかしすぎて頭が爆発しそうになった。

……何を閲覧していたかはご想像にお任せする。


「そろそろ学校が再開するから、家の中を結構時間を空けるから相手できないよ」

「学校…あぁ寺子屋のことか。安心せい。わたしはパソコンで遊んでるから大丈夫だ。……友介の通っている学校には興味があるな。わたしも一回行ってみたい」

「いいけど、人に見られないでよ」

「わーってる」


 柚月と菊璃と話すときに畏まる癖は治って、今は楽に話している。

かれこれ二人と出会って一ヵ月なのだが、柚月に関してはほぼ僕の部屋の中を入り浸っている。風呂やトイレなんかもほぼ僕の部屋の備え付けのものを使っている。水道代と光熱費が気になる所だが…

 初めて柚月が、風呂やトイレを使った時なんて惨劇だった。

トイレはウォシュレットなので、適当にボタンを押してウォシュレットの機能が発動し、悲鳴を上げ、風呂には脱衣所は無いのでばったり出くわし…なんてこともあったりした。

 そんなこんなで今は僕の部屋にあるモノなら粗方使える、タイミングも見計らっている、という訳だ。


「菊璃も一緒に来てよ。柚月だけじゃ不安だからさ」

「分かりました。友介様と柚月様のお供させて頂きます」

「なんだ、わたしだけじゃ困ることでもあるのか?」

「そりゃ、なにをするか分かんないからね。菊璃が一緒にいたら下手なことできないでしょ」


 本当にこの柚月はいらんことばっかりする。一度スーパーで買い物に憑いてきたときに、店内のリアルタイムの映像が流れるモニターを見つけて、その発信源であるカメラを見つけると、そこまで浮かんでカメラを覗き込み、モニターの映像をバグらせたことがあった。原因不明のバグで業者を呼ぶ事態にまでなったのを未だに鮮明に覚えている。あの時は血の気が引いた。

 そのことを菊璃に話したら、菊璃が柚月を大説教。


「まぁ、学校は明後日からだからまだ大丈夫だけど。学校なんてほんとにつまらないから面白いところじゃないのだけは言っておくね」

「それぐらいなんとなく分かっておる。だが、学ぶことが面白くない、というのも考え物だな…今の子たちは学ぶ楽しさを知らんのだろうな」

「まぁ、一部の人たち以外は学ぶことを楽しいとは思っていないですよ」


 事実、僕も学校で勉強するのは嫌いだ。あの勉強させられてる感覚が嫌なのだ。唯一好きだったのは体育と給食の時間だった。

 まぁ、勉強が嫌いだからと言って受けずにサボったり、科目を落としたりすることは無い。平均よりやや上を常に出している。


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