第16話 君の呼び名は


 さて、歓迎会を終え、いよいよ本題の神様達の名前になった。

一応、名前は外出中や、歓迎会中にも考えていた。そして便利で便利なスマホで意味合いが合いそうな言葉などを探していた。

 それで形にはなったので、メモ帳機能で文字に起こし、名前として不自然でないものにまで固めていった。

ので、神様達の仮の名前を発表しようと思っている。


「では、本題に戻りますね。神様達の名前を考えていて、考えが固まったので発表したいと思います」

「おぉ! そうだった、菓子が美味すぎて忘れかけておった」


 座敷童も、はっとした表情をしていた。相当コンビニ商品が気に入ったのだろう。うれしい反面忘れられてたことにちょっぴり複雑な気持ちだ。

神様は豪快に笑い、座敷童は申し訳なさそうな恥ずかしそうな表情になっている。いいものを見れたので良しとしよう。


「気に入らなかったら全然言ってくださっても大丈夫です。他にも案は考えてますので」

「うむ。だが、先刻言ったように、友介の考えてくれた名前なら文句はないからな」


 ありがたいのだが、同時にプレッシャーである。

兎に角、考えた名前を発表するとしよう。世の親達は子供の名付けの時にこんな気持ちだったのだろうか。親には感謝しかない。


 さて発表するにあたり、言うだけでは分からないので文字も書くとする。紙にペンで文字を書く。最初は座敷童の名前からにしよう。


「まずは、座敷童さんですが、名前を『菊璃きくり』と呼ぼうと思っています。菊は色合いによって意味が変わるらしいのですが、僕は座敷童さんの思考を読むことのできる力や、神様への誠実なところに白色の菊の意味が合いそうなので菊を、璃は瑠璃からとってます。宝石のように大事にされるように、という意味も込めてます。」


 なんだか、こう人の前で言うとキザなヤツに思われそうだ。実際僕も気恥ずかしい。けど恥ずかしがってたら座敷童に失礼だ。

 どんな反応をするのか座敷童をみると、頬に涙が伝っていた。

一体どうしたのか、何かまずいことがあったのかあたふたしていたら、座敷童から大丈夫だと声が掛かる。だが、心配になる。


「大丈夫です、少し…いえ、とても嬉しくて… 感極まってしまいました。お見苦しいところを失礼しました」

「いえ、喜んでもらえたならこちらも嬉しい限りです。菊璃さんとこれからは呼んでも大丈夫ですか?」

「はい。これからは菊璃とお呼び下さい」


 ここまで喜んで貰えたのならこちらも嬉しい限りだ。名前の意味も相当考えたのだから嬉しさ倍増だ。これからは菊璃と呼ぼう。

 次は神様の番だ。同じように紙にペンで名前を書く。


「次に神様ですが、名前を『柚月ゆずき』と呼ぼうと思っています。柚は柚子から取ってます。純粋で活力のあるので、この文字はぴったりだと思いました。月は、神様と初めて出会ったのが月のでる時刻だったのもありますし、何度も満ち欠けを繰り返すことから永遠の意味をあって、ずっと元気で純粋でいてくれるように、という意味を込めて、この名前にしました」


 やはり、こう話すと恥ずかしくなる。

神様は何かを思い出したかのような表情をしていた。すぐに笑みを浮かべて快活に笑う。


「柚月か…良い! これからは柚月と呼ぶことだ。菊璃もそうするように」

「分かりました、柚月様」


 気に入ってもらえたなら幸い。僕は一世一代の大題を解決して安堵の声が漏れる。


「さて、わたし達だけの名前の意味を聞いたもしょうがないからの、友介の名の由来を聞こうか」

「僕のは読んで字のままですよ。友人を助ける、介することの出来る人間になって欲しいという意味を込められて付けたそうです」


 自分の名前の由来を話すのももっと恥ずかしいな。

もう何をしてても恥ずかしい気がするぞ。僕って意外と恥ずかしがり屋だったのか…新しい自分の発見ができた良い機会だった、と思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る