第15話 歓迎会
家に帰り部屋の中に戻る。当たり前のことだけど、今は神様達が一緒にいるので、なんだかハラハラしている。いけないことをしているわけではないのに、何故かハラハラしていた。これはクセになったらダメなヤツだ。
家に入るなり、神様はどかどかと僕の部屋に向かっていく。因みに憑依は解いているらしい。物に触れないのは不便だったらしい。
僕は部屋に戻る前にアイスが融けないように冷蔵庫に入れる。
その後は洗面所に行き、手を洗いに行く。
最近は巷を騒がせる感染症が落ち着いたとはいえ、癖になってしまっているのだ。あとは清潔にするのもある。
「友介! 早う支度しろ! 待ちきれんぞ!」
「わかっています。手を洗ってから準備しますから」
「うーむ… じれったい! なんだ、
「主様、すぐですから」
座敷童が神様をなだめるが、座敷童もそわそわしている。
テーブルの上を手早く片付けて、コップと皿を出し、歓迎会の準備を進める。
その間も座敷童が手伝ってくれたので、事は早く済んだ。
飲み物を出して、皿の上に菓子や惣菜パンなどを並べていく。
座敷童は飲み物や菓子などの包みや容器にご執心なようだ。容器を見るなり、これは何でできているのか、と聞いてきた。
僕はプラスチックだ、と言ったが、正直プラスチックが何からできているのかは知らない。ここが現代人との違いなのだろう。
「では準備も終わりましたし、歓迎会をはじめますか。高価なものは無いですが」
「構わぬ、歓迎する気持ちだけでも十分だ」
「ありがとうございます。じゃぁ、どれでも好きなものから食べてください。飲み物は僕が注ぎますので」
当然、座敷童がやる、と言ってきたが頑なに拒否する。今回の主役は神様達だ。準備を手伝ってもらったけれでも…
「むっほー!柔らかくて口どけもまろやか…甘露甘露!しょーとけーきは一番よな」
「美味しいですね。私は特にこのえくれあというものが気に入りました」
「うむ、確かに。だが、中のくりーむが漏れてきて喰いづらいのが難点だ」
「ばーむくーへんもなかなかに美味ですね。あ、こちらのぷりんもまろやかでこれまた…」
神様達は今回買ってきた食べ物を評価しあっている。
なんか、女子会の中に入ってきてしまったような感じがする。ここは空気になることに徹するか。
「うーむ、こちらの茶は少し苦みがあるな、だがこちらの茶は苦みが少ない。茶葉が違うのか? なんとも物足りない感じがするな」
「あちらのお茶に慣れてしまっているのでしょう。こちらのお茶も味が深いですね」
「…! なんだこの水は! 口の中で爆発したぞ!」
「ですが、甘みがあってクセになりますね。口の中で爆発する感覚はあまり好ましくないですね。あ、こちらの水は薄味ですが爽やかな味です。すぽーつどりんくなるものですか…」
そうこうして、神様達の歓迎会、もとい女子会は終わった。
ひとつ残らず食べて貰ったのだが、概ね好評だったと言えるだろう。特にデザートの減りは早く、あっという間に無くなりおかわりの声を貰った。
その次がパン類だった。穀物ばかりだったのだろう、パン系の食べ物が珍しかったのもあり、デザートに次いで減りは早かった。
アイスも概ね好評だった。ただ、飲み物、特に炭酸飲料はあまり好評では無かった。炭酸のシュワシュワする感覚がダメという人もいるのだから、こればかりは仕方ないと思う。
神様達の歓迎会を当日即興でやった僕は、今日の日を一生忘れることは無いと思う。
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