第12話 無名の神様 其の壱
おほん、と今までの変な空気を切るために咳ばらいをする。
神様と座敷童の怪訝そうな視線を無視して、これからの方針を話す。
方針と、言ってもこれからの日常に神様達、非日常がいると少なからず問題が起こると思う。杞憂ですめばいいのだが、念には念を、だ。
まず、問題その一衣服が前時代的なところだ。
美人なので目立つのだが、人前に出てもまず目立つ。最悪ネットに移るだろう… そして神様のことだ、「名前は?」と聞かれると、素直に「神だ」なんて名乗るだろう。それだけならまだ完全にコスプレしている人に思われるだろう。
だが神様のことだ。きっと信じてもらえてないとこに逆上して神の御業みたいなことをしでかすだろう。そうなればネットにあっという間に広まってマスコミが殺到する… そうなれば宗教戦争だ… あ、ここから出なけりゃ問題ないか。
そして問題その二、名前が無い。
無名の神様だ。名前が無いと困ることがある…万が一、人に見られて、「あの女性、名前何ていうの?」と聞かれてでもして「神様です」なんて答えたところで、コイツ頭おかしいんじゃねぇの、と思っていること丸出しの表情を見ることになるだろう。それにいつまでも「神様ー」とか、「座敷童さーん」なんて呼んでいられないだろう。いつまでここにいるつもりなのかは分からないが。
さらに問題その三、戸籍登録がない。
あ、これもいいか。向こうに居てもらえば人に会うこともないし、問われることはないだろうし。
今、ぱっと浮かんだのが、こんな感じだ。
と、言うことで、まず手っ取り早く、尚且つ簡単に済ませられそうな問題は「名前が無い」問題だ。名付け出来るほどのセンスはないし、万が一神様に名前を付けて問題が出たとしたら責任なんて取れっこない。
ここは神様と座敷童に考えて貰っている間に、ネット通販の「レディースファッション」に目を通し、良さそうなものがあればカートに入れて、体のサイズが分からないので、座敷童にメジャーを渡して測ってもらお…
うん?待てよ、それってまずくないか?
僕、それだと神様や座敷童を見たときに、「あ、
暫くは僕のタンスの中に仕舞ってある服を使ってもらおう…必要とあらばだけど
「えー、神様と座敷童さん。まずはお互いの名前を決めましょう。呼び名が無いと不便なこともあるでしょうし」
「うむ、良いだろう。だがそれは友介が決めてくれるのだろうな?他の誰でもないお主がだ。お主の決めた名前なら文句はあるまいよ」
「え? あ、僕にはむr…」
「む、言い出しっぺは友介、お主ではないか。まさかこの期に及んで『僕には無理ですー』なんて言わんよな?」
「楽しみです、友介様」
やめてー!! そんな期待の眼差しで僕を見ないで!!
こうなれば奥の手だ。僕の頭で考えが付かないのなら、神様達の頭も借りよう。
「では、こうしましょう。皆さんで案を出し合って行って良いものを使って名前を決めていきましょう」
「…まったくお主は…まぁ良いだろう。では筆と紙を用意してくれ」
「では少し離れます」
「あ、大丈夫ですよ。紙とペンはこちらで用意しますので」
「ぺん…ですか?」
座敷童が聞きなれない言葉を聞いた時の反応をした。
ペンは英語だし、神様達がいた時の時代は分からないけど、外国の人がいなかったのだろうし、ペンが無かったのだろう。何せペンができたのは一九〇〇年頃だし
神様達に実物を見せる。物珍しそうにペンをまじまじと見ている。
渡して使い方を教える、ペンの尻の部分をカチカチ、とするとペン先からペン芯が出し入れされる。
「ほほう… これはすごい!! なんとハイカラなことか!」
「確かに、これは素晴らしいですね。筆のように墨と
「お気に召されたのならそちらはお譲りしますよ。今の時代こだわったりしなければペンは手軽に買えますので」
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