第8話 勾玉


 神様との会話は続き、三時間もいかないくらいには会話したと思う。

会話の内容をまとめると…



・座敷童は神様の分霊のようなものらしい


・神様は他の神様の知り合いを知らないらしい。知っている神様の名前を挙げてもしらない様だった。


・この神社内(神域みたいなとこ)は神様か座敷童が許可しないと入れないとのこと。



「はー、たくさん話した話した。もう喉がガラガラだ」

「そうですね。まだまだ聞きたいこともありますけど、ここまでにしておきましょう」

「久しく会話をした。礼を言うぞ友介」

「い、いえ! 僕こそ一生にあるかどうかの機会でしたから、礼を言うのは僕の方です」


 神様に感謝を述べられる、話せるだけでも過分なのに。

慌てて頭を横に振る。遠慮というよりも勿体ないような気がしたからだ。


 まだまだ聞き足りないのだが、これ以上は失礼になるだろう。気分が良いところか、少し物足りない位がちょうどいい。


「そうじゃ、また話せるように、友介にを渡しておこう。おーい」

「はい、お持ちしました」


 速い…! もはや予測していたような速さだ。

座敷童は玉手箱を持ってきた。黒漆を塗っていない木目だけの玉手箱だ。

座敷童は結んでいる紐を解き、箱を開け中身を見せる。

中には勾玉が入っており、色は黒と白が混ざっている。


「これはへの合鍵の役割を持っています。同時に魔を払う力もありますので、悪霊程度は近づいただけでも払えるでしょう。お手に取って貰えますか」

「は、はい」


 これ…素手で触っていいものなのか、と思った。そんな力があるものだから、下手な触り方をして何か変なことが起きたりしないか、と心配になる。

恐る恐る手に取ると勾玉が淡く光った。


 心配になり座敷童に大丈夫なのかとアイコンタクトをとると、無表情のまま頷いた。


「ありがとうございます。ではそちらを少々お借りしてもよろしいですか」

「ど、どうぞ」


 座敷童は袖の中から赤色の紐を取り出すと、勾玉の穴に紐を通し適当な長さの輪を結び、渡した。

どうやら勾玉単体だと落としてしまうので、ネックレスのようにしてくれたのだ。気遣いのできる人だなぁ、と感心する。


 渡された勾玉ネックレスを首にかけ、座敷童に礼を述べると、軽く会釈をして部屋から静かに出ていった。

着けてから気づいたが、は言うなれば神様の部屋だ。その部屋の合鍵を渡されたのだから、不用心にも程があるんじゃないのか、と。


「これ…ほんとに貰ってもいいんですか? もしかすると僕が盗みを働くんじゃないのか、とか考えたりしたら」

「あぁー、それは出来ん。許可せん限り外には持ち出せんようにしておる」


 それなら安心か。

持ち出せないのなら盗みもできないし

それに、と神様が付け足す


「あの子は思考が読めるから、何かしでかそうと考えておったらここに入れもせんし、あの子のことだ、何かやるだろうなぁ」

「なにか…ですか? ……あ」


 そういえば除霊師の人が顔面蒼白になってたのって…

背筋がゾッとした。目の前の神様もそうだが、あの座敷童も同等かそれ以上に恐ろしい存在だろう。

それに思考が読めるという点、妖怪のさとりの特徴に似ている。

失礼なことを考えないようにしないと…


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