第7話 謎が解けた
座敷童のような子に案内されて客間(だと思わしき場所)に入った。
僕も多少和室のマナーを知っている。上座と下座の場所、上座の後ろは歩かないこと、畳の
あとは失礼にならないように姿勢は正していることだ。
まぁー、神様はそんなのお構いなしで、どしどしと
ま、まぁ… そんな神様もいるんだろう… 多分
「さて、何か話して貰おうか」
「えぇ… いきなりですか」
「仕方ないであろう、わたしも久しぶりの客だからの、しかも生きている者だ。話題なんて一つもあるわけなかろう?」
なんで誇らしそうなんだ。
でも理解できないわけではない。隠居生活? みたいなことをしていたら人と話す話題なんて浮かばないだろうし。
ここで「本日もお日柄が…」なんてつまらない話題の振り方をするようなことはしない、それをしていいのは快晴時の運動会ぐらいだ。
ここは僕の興味があることを聞こう。聞きたいことなんて、ごまんとあるのだから。聞かれてて億劫にならない程度に抑えるが。
「神様ってもともと人間だったりします?」
「うむ。もともと普通の町娘だったと思う。いつだったかのぉ… 何だったかな、災い除けか、祈願の為だったかで人身御供、したのかのぉ?」
「人身御供で… じゃぁ神様になったのは…?」
「うーん… 気づいたらなってたのぅ、もう昔のことだったから覚えておらんな」
襖がススーっと開く音が聞こえた。
どうやら座敷童みたいな女の子(以後座敷童とする)が襖を開けたようだ。
どうやら飲み物を持ってきてくれたようだ。
「失礼いたします」
「うむ、ちょうど頼もうと思っておったから助かる」
「勿体なきお言葉です」
座敷童は神様を相当慕っているようだ。ぱっと見、似てないが年の離れた姉妹のように見える。現代人の僕には歪に見えるが、顔に出さないように努める。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
神様に飲み物を出したあと、僕の前にもコト…と、飲み物が来たところで思い出す。
『ヨモツヘグイ』
黄泉の国の食べ物、飲み物を飲むと黄泉の国の住人になることを意味する。現実に戻れなくなる、というものだ。
流石に座敷童の聞こえるところで聞くのも失礼だし、飲まないのも失礼だ。
座敷童が部屋から離れた時に神様に聞いてみるか。
と思ったら座敷童が
「ご安心ください、飲み食いされても現世に帰れないことはございません」
「そうなんですね。では、ありがたく頂きます」
多少忌避したが、こうまで言ってくれたのだ。頂かないわけにはいかないので音を立てないように飲む。
急須で淹れたお茶なんだろう、とても香りが良い。家で飲むお茶とは違いやわらかな感じがする。舌が肥えてる訳ではないので違いが分かる人間ではないのだが、明らかに違う。このお茶が毎日出ていたらきっとこれ以外のお茶は飲めなくなるだろう。
ヨモツヘグイより厄介なものだ、と思ってみたりする。
「さて、喉を潤したところで話を続けよう」
「そうですね… 出会ったときに、懐中電灯を見せたと思うんですけど、こういうのは見たことが無いんですか」
「うむ。わたしはここでずっと寝ておったからな、外のことはずっとあの子に任せておったから、外のことは一切知らない」
「数年前にここに人が来たことがあったと思うんですが、その人も見てないんですか?」
「? 知らんのぉ。あの子なら知っておるかも知れんな。おーい!」
神様が呼びかけると数秒で襖が静かに開いた。
「どうかなさいましたか?」
「こやつが、数年前に人が来なかったかと聞いておるのだが知らぬか?」
「はい、存じております。『除霊師』と名乗っておりました。なんでもここに住まう幽霊を除霊するとか何とか抜かしていましたので、少し気押してやりました」
「だ、そうだ」
「あぁー、通りで。ありがとうございます。これで謎が解けました」
「お役に立てたようなら幸いです」
通りであの時、顔面蒼白だったんだ。あの除霊師さん
相手が悪かったんだ。幽霊じゃなく神様の執事?警護?侍女?が相手だったんだから
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