第3話 禁術使い、悪魔を召喚する
前話で『この世界は自身がいた世界の未来の世界』と言うのを付け加えました。
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「…………神力か……」
正直に言うと、こんな物が自分の身体に宿っていると考えただけで虫唾が走る。
更に人間の体に神力が宿っているとなると、相当この世界は神に支配されていることが容易に想像出来た。
「ふざけた奴らめ……」
それと、これは俺の単なる想像でしかないが、この家系———エルメスの家は恐らく相当神に近い家系ではないだろうか。
そう思う理由は2つだ。
まず、この体に宿っている神力量が尋常ではない。
何なら現時点の魔力よりも遥かに多く、今にも心臓から溢れ出しそうな勢いであった。
そして2つ目は———こうして俺が何事もなく普通に生活ができている点である。
俺が知っている奴らは、人間を奴隷とか替えが効くオモチャとしか思っておらず、俺達の状態など気にしない。
強いて言えば、状態を気にしていたのは過去に『主神の使徒』と名乗った数人の人間のみ。
であるならば———恐らくこの家はウチの父親が誰かの使徒である可能性が高い。
今まで1年間過ごしてきて一度もあったことがないので誰の使徒かは分からないが、見れば1発で分かるだろう。
俺が奴らの気配を間違えるはずがない。
しかし我が家が使徒の家系であるとしたら———俺はこの家の誰にも自分が転生したことは話すことは勿論、バレることもダメだ。
告げ口でもされれば何をされるか分かったものではない。
「さて、一体どうするか……」
俺は誰の力も借りずに神々を殺せるほどの力を得なければいけないことが分かり、目の前に巨大な壁が立ち塞がっている事を知る。
現時点での俺の魔力では神力を抑えることは不可能に近く、仮に抑えようと無理矢理魔力を使えば、今後2度と魔術を使えなくなってしまうだろう。
「…………
俺は苦肉の策だが1つの方法を思い浮かべる。
それは禁術の中でも発動自体は非常に簡単な部類に入るだろう。
何せ魔術陣を覚えて紙や地面に魔力を纏わせて描くだけなのだから。
後は自身の血を垂らして口頭を述べれば良い。
俺はその全てを覚えているし魔力も足りるので、発動させること自体は不可能では無い。
しかしその代わりに失敗すれば殺される可能性もあるし、成功してもいいことばかりではない。
まぁ俺に関しては悩むのには他の理由もあるのだが……。
そしてその禁術の名は———
———《悪魔召喚》———という。
俺は次の日、起きている合間かつ、誰にも見られていない間に必死で弱々しい魔力を指に纏わせて自室の床に書いていた。
朝から描き始めたものの既に夕方になっている……が、約8割は描き終わっている。
始めは魔力を感知されるかとヒヤヒヤしたものだが、どうやら侍女も母親のエルメスも気付いていない模様。
だがもしかしたら気付いていながら泳がせている、という可能性も無きにしも非ずなので何方にしろ早く終わられなければ。
俺は迫り来る睡魔に抗いながら必死に動かしにくい腕を動かして魔術陣を描く。
此処でミスれば
因みに魔獣は、その名の通り、悪魔召喚でミスをした際に悪魔の代わりに召喚される生き物のことだ。
知性はなく、本能に忠実で、悪魔より遥かに弱い奴らの洗脳は容易なため、度々悪魔や悪魔の契約者によって使役されたりしている。
見た目は様々で、普通に動物の容姿をしているものも居れば、人型やスライムなどの容姿をしている者も数多い。
しかし全部に統一して全身漆黒に染まっており、影みたいな姿をしている。
そんな奴らだが、今奴らが現れれば間違いなく1番に殺されるのは俺だ。
奴らは魔力を好み、俺程の魔力を持っていれば格好の獲物以外の何者でも無い。
更に弱いとは言ってもそこらのモンスターや人間よりもよっぽど強く、オーガ程度の力を持っている。
なので今の俺に魔獣を殺す力は皆無———いや、何個か手はあるが、それはどれも使えばタダでは済まない。
というかそもそも使えば間違いなく親にバレる。
俺は失敗しない様、自身の技で死なない様、誰にもバレない様、それはもう細心の注意を払って慎重に指を動かした。
「———ば、ばぶぅぅ……(で、出来た……)」
誰もが寝静まり、丑三つ時とも言われる
そんな深夜に俺は遂に数十時間を掛けて魔術陣を完成させた。
まぁ嘗ては指パッチンで一瞬の内に発動できていたが。
早急に強くならないとな———と危機感を抱きながらも生えてき出した歯で自分の指をガリッと噛んで血を出す。
そしてその血を魔術陣に垂らして、魔力で無理矢理声帯を弄って詠唱を始めた。
「ん"ん"ッ!! あーあー、よし———我が召喚に応え、魔界より顕現せよ———」
その瞬間に魔力が渦巻き部屋の中の全てのものが浮かび上がる。
———勿論俺も。
しかし俺はそんな事を気にする事なく続けた。
「———《悪魔女王リリス》ッッ!!」
その瞬間———世にも美しい、頭に2本に角が生え、布面積の少ない水着の様な漆黒の服に身を包んだ黒髪黒目の絶世の美女が現れた。
その美女は1度俺を見て辺りを見渡し、2度見て納得した顔をし、3度目に俺を見ると———
「ご、ご主人様—————ッッ!!」
「ばぶぅぅぅ!?」
涙を浮かべて俺に物凄い速度で抱きついて来た。
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