3話

 ロッドが家を出た頃、警報の鳴り響く集落を真っ赤な髪の女と一緒にやってきた者達は自由勝手に他人の家を荒らしては抵抗する住人を殺し、金目の物などを持ち出していた。


 その光景を真っ赤な髪の女はつまらなさそうに眺めながら歩いていた。すると、たまたま周囲を警戒しながら進んでいる騎士の格好をした1人の金髪の男を見つけその男に近寄っていった。


 真っ赤な髪の女は気づかれる事無く騎士の男の背後に辿りつくと声をかけた。


「まだ騎士の生き残りが居たのね」


 その声を聞き驚いた騎士の男は危険だと思い反射で剣を抜き、女に対して構えた。しかし、それと同時に真っ赤な髪の女は手を横に振り払うような動作をして、次の瞬間には騎士の男の首は綺麗に切られ床に転がった。


 女は、その様子を見ても表情も変えずに辺りを見渡し何かを探していた。


「ここら辺にあるのは確かなのだけど…どこにあるのかしらね…」


 そう呟くと、またつまらなさそうに歩き始めていた。


ーーーーーーーーーー



 朝食を食べ終わったリオ達は、いつもならば外に出て遊ぶのだが、今日は警報があった事も考えリンが2人に勉強を教えていた。


 すると突然、遠くの方から爆発音のようなものが聞こえてきた。3人は勉強に集中していたこともあり、はっきり音が聞こえ何かおかしいと思い勉強を中断した。


「お母さん…今のって何の音なのかな?」


 ノエルは不安そうな顔をしてリン聞くと、リンは不安にさせたくは無いがもしかしたら危険な状況かもしれないと思い正直に答えた。


「もしかしたら今のは魔術の爆発音かもしれない。もしもの時に備えて2人は出かける支度をして頂戴。お母さんは少し外の様子を確認してくるわ。すぐ戻ってくるからお家で待っててね」



 リンは少しでも安心させようと笑顔で2人に声をかけ、不安そうに俯いているリオと心配そうに顔を見つめて来ているノエルの頭を撫でた。


「きっとロッドも大丈夫よ。今はとにかく安全を確保しましょ」


 リンに撫でられ少し不安が紛れたのか2人はリンの言葉に頷き一緒に出かける支度をしに自分達の部屋に向かった。


 2人が支度をしている間にリンは少しだけ外の様子を確認するために家の外に出た。


 外の様子を確認しに出たリンは周りの様子を見るとあまりの人気の無さに胸騒ぎを覚え、警戒しながら歩いていた。すると、前方から見知らぬ顔の真っ赤な髪の女性がこちらに歩いてきてるのに気がついた。


 リンはこの集落に住む人物は把握しているが前方から歩いてくる人物は全く知らないので警戒しながらも声をかけることにした。


「おはようございます。先程どこかで爆発音がしたと思うんですが、何か知りませんか?」


 リンが声をかけると真っ赤な髪の女性は微笑み、手を横薙ぎにしながら返事をした。


「えぇ、知っていますよ。私達が起こしているんですもの」


 真っ赤な髪の女性が手を横薙ぎにしようとした瞬間、リンは直感で危険を感じ取り、瞬時に屈んだ。


 その直後リンの背後にあった小屋は鋭い刃で切りつけたようにズレるとそのまま大きな音を立てながら崩れていった。


「驚いた。偶然かしら?これに反応できる人がこんな所にいるなんて。でも、完全に反応できている訳では無いのね。」


 真っ赤な髪の女性はそう呟きながらもう片方の手を軽く降りリンの両足首を切断し、立つことが出来なくなっているリンを見おろしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君とならどんな未来も。 10LL @10LL

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ