第9話 アイテムはひとつだけ
レベルが上がった。
今の俺のレベルは
名前:ヨル シグレ
レベル:958
体力:14370
魔力:14370
スキル:呪詛返しLv999(パッシブスキル)
称号:Sランク勇者
「ちゃんとSランク勇者としての素質はあったのかな?」
それを確認して思う。
俺が歩いて敵が魔法を使えば敵は死ぬ。
さいわいここはリッチしか出現しない。
だから全モンスターがおやつだ。
歩いてるだけで俺はレベルがあがる。
初めは【呪詛返し】とかって念じてたけど実はこれも念じる必要がないことにきづいた。
パッシブスキルと言うように本当に何もしなくても勝手に発動してくれる。
ゴミとか価値がないとか言われて追放されたけどこのスキル一番当たりなんじゃないか?
まぁ問題はあるけど。
それは
「スルーされてしまえばなんの意味もないことだよな」
エリスの言った通り。こんな俺に誰が魔法を使うんだろうな?
それとネックになるのが
「物理攻撃か」
剣や弓、槍で攻められたら俺はなすすべも無くやられてしまうかもしれない。
【ファイア】
【フリーズ】
【サンダー】
【リッチを撃破しました】
【リッチを撃破しました】
【リッチを撃破しました】
ちなみにこうやって考えている間もリッチ共は攻撃してきていてオートでレベリングが進んでいる。
すばらしいスキルだこれは。
「また難しい顔してますよねー?」
ノエルさんが聞いてきた。
「いろいろ考え事してて」
「攻撃されながら考え事してるってシュールすぎません?」
そう聞いてくるノエルさんに頷く。
たしかにシュールだな。
うん。
「とりあえず進んじゃいましょうか」
そう言って俺は当面の事について話す。
「消し去る者についてはスルーしようと思います」
あいつの攻撃方法は鎌による物理攻撃らしい。
となると
(【呪詛返し】しかない俺が勝てるかどうか分からない。戦うかどうかを選べるタイプのモンスターならスルーでいい)
ここまでせっかく軌道に乗ってるんだ。
それをモンスター1匹にご破算にされたくない。
「分かりました。ちなみにですが、今現在あれは私たちとかなり離れてるようです」
「なるほど。ならばこのまま進んでしまいましょうか」
そう言って目の前の扉を見つめた。
そこにはこう書いてある。
【ボス部屋】
どうやらこの先がラストみたいだ。
ちなみにだがレベリングはやれるだけやってきた。
ゲームと違って歩いてるだけでレベリングできるので練り歩いて雑魚モンスターを殲滅してきた結果がこのレベルだった。
「レベルが足りることを祈るしかないな」
そう呟いて俺はボス部屋への道を開けた。
するとそこには
名前:メデューサ
レベル:1089
「俺よりレベル高いか」
そう思ったそのときだった。
『見たな?』
【石化】
目を見ただけで光弾が飛んできたが
「呪いだろう?これも」
ってことは
【呪詛返し】
パーン!
弾き返された光弾は逆にメデューサを襲い。
『ぐがっ……』
メデューサが石になった。
自分の両手を見た。
「強いなこのスキル」
ぐっと拳を握りしめた。
対象のものであるならばなんだって跳ね返せるスキル。
チラッ。
石像になったメデューサを見て思う。
「このスキルは大当たりだ」
そう呟いて俺は歩いていく。
石化したメデューサの方へ。
そっちに歩くと後ろに宝箱があって、その更に奥には扉があった。
「出口なんだろうなこれ」
そう思いながらも先に俺は宝箱に手をやった。
中を開けるとそこには
【生命の源】
名前:生命の源
レア度:SSS
効果:使用すれば死者を甦らせることができる。生者が使った場合は体力、魔力などを全回復することができる。次に使う回復魔法の効果を最大にする。
ノエルさんを見た。
「あなたに使おうと思います」
「わ、私にですか?」
「ここまで案内してくれました。その恩をここで返したいと思う」
そう言うと俯いた彼女。
「無理ですよ。最後まで見てください」
そう言われてもう一度アイテムの詳細に目を向けた。
そこにはこうあった。
名前:生命の源
レア度:SSS
効果:使用すれば死者を甦らせることができる。生者が使った場合は体力、魔力などを全回復することができる。次に使う回復魔法の効果を最大にする。
(注意)
・肉体を失った死者に使っても蘇生しない
・霊に使った場合回復するのは魔力だけ
・霊はなにがあろうと蘇生できない
それを見て乾いた笑いが出てきた。
「ははっ……なんだよこれ」
霊は蘇生できない?
すでに肉体を失ったものには意味が無い?
ノエルさんに目をやった。
「ここでお別れですよヨルさん。私の分まで楽しんで生きてください。死者にできるのはここまでです」
そう言われて目を落とした。
「ごめんなさい。無能で」
あー。これがそう。
もっと別のスキルをもらっていたなら俺はこの人を助けられていたかもしれない。
例え肉体を失って霊となった今でも助けられたのかもしれない。
でも、諦めたくない。
「なにか、方法はないんですか?そ、そうだ。魔法使いなんですよね?」
ここに来るまでにいろいろと話をした。
その時に聞いた。
ノエルさんが魔法使いだってこと。
「仮に私が蘇生したところで戻る場所なんてないんですよ」
そう言って彼女はこう言ってきた。
「反逆者ノエル。ロックが言っていたのを覚えていますよね?私は反逆者と呼ばれてここに落とされたのです。今更どこにも戻れませんよ」
そう言って寂しそうにしてるノエルに答える。
キザかもしれないけど。
「俺があなたの戻る場所になるよ」
「え?」
「俺を助けてくれたノエルさんをこんなところに置いていきたくなんてないんだ。だから」
俺はこう言った。
「諦めないでください。そうすればきっと道は拓けるんでしょう?」
たとえどんな絶望的な状況だとしても。
この人がそう言ってくれたんだから。
それに
「ノエルさん。俺にひとつ考えがあるんです。俺のことを信じてくれませんか?やれるだけやってみませんか?」
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