第5話 真実の愛

「……だったら、その相手は君がいい。君からの愛を受け取りたいし、君に愛を与えたい」


 いつの間にかユースはカロンの頬に手を添えて微笑んでいた。その美しい微笑みにカロンは射抜かれて動けない。


「こんなことを言われて困るだろうけれど、俺は君といると今まで感じたことのない胸の温かさと高鳴りを感じる。

だから、愛を知る君から愛を受け取りたいし、愛を与えたいんだ。一人で頑張る君を甘やかしたいし、俺を頼ってほしい」


 ユースの告白に、顔を真っ赤にするカロン。



「わ、私なんかでいいんでしょうか?ユースさんだったらもっと素敵な女性がいるでしょうし、きっと引くてあまた……」

「君がいいんだ」


 言葉を遮りながら言うユースに、カロンは唖然としつつ、意を決したように深呼吸する。


「……私も、ユースさんと一緒にいるととても安心しますし、でもとてもドキドキしてしまってどうしていいかわからないです。でも、ユースさんに愛を受け取ってほしいし、与えてほしいなって思います」


 カロンの言葉に、ユースは目を輝かせてカロンを抱き締める。


「ユースさん、く、苦しいです……!」

「あ、あぁ、すまない」


 抱き締める腕を緩めると、ぷはぁと息をしてからくすくすと笑うカロンがいる。


 ユースは湧き出る愛で胸がいっぱいになり、カロンに優しく口付けた。

(これが、愛なんだな)





 カランカラン


「よーうお二人さん!元気か?」

「サインズ、昨日会ったばかりだろう」


 サインズとユースのやりとりの横には、嬉しそうに微笑むカロンがいる。


 ゲラルド渓谷から帰ってきた二人を、サインズは嬉しそうに歓迎した。


「俺はさ、カロンちゃんとユースはお似合いだと思ったんだよね。だから紹介したんだぜ」


 ピースをしながらにぃっと笑うサインズを、呆れと共に少し嬉しそうな顔でユースは見ていた。





 貴重な鉱石花を扱うその魔鉱石屋は、現在は女店主と傭兵の夫が夫婦で仲良く切り盛りしている。


 女店主の結婚が発表された時には街中の魔鉱石屋ファンの常連から悲しみと祝福両方の声が聞こえたそうだ。そしてその後も変わらず店は繁盛している。



 雪月光石の鉱石花言葉:真実の愛




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鉱石花~陥れられ騎士を辞めた愛を知らない傭兵は純愛を見つける~ 鳥花風星 @huu_hoshi

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