第6話 午後の曳航 三島由紀夫


この小説があらゆる私が好きな作品の中でトップ5には入るかもしれない。


残酷な少年たちが繰り広げる愛憎劇。


少年は父を羨んだ。そして、憎んだ。


海に焦がれ、海に抗った少年の末路はあまりも酷かった。


三島由紀夫の小説は度々予言したと言われる。首領はどこかしら少年犯罪を思わせるようなキャラクターだし、潔癖なまでの少年たちの性的嫌悪は大人なら忘れてしまった、10代の少年少女の純潔さを思わせる。


三島由紀夫を読むと大抵『すごいね!』と言われてしまうのが不思議なくらい、この小説はヘビーでダークだ。


この『午後の曳航』からインスパイアした『星神楽』という作品で九州芸術祭文学賞を受賞できたけど、青二才の私は到底追い付けない。


ミシマ、恐るべし、怪力。



首領が言った、



暗い森に輸血しなくちゃいけない。



だったような?



残酷な少年たちはいつの時代もいる。この表現、三島由紀夫にしかできない……、と読み終えたとき、いい意味で震撼した。

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