ずっと笑ってはいられない 文芸

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 駅の中で、ビルの中で、店の中で、道のはじで。


 電話に出ながら、話をしながら、慌てながら、急ぎながら。


 汗をかいていたり、難しい顔をしていたり、頭を下げて謝っていたり。


 そういう大人を見ていると、思う事があるんだ。


 いつもそうしているなって。


 そして。


 ずっと笑っててもいいのは子供の時だけなんだって。





 ずっと笑ってはいられない。


 大人になったら、笑わないようにしなくちゃ。


 だって大人は厳しいんだよ。


 生きる為に、色々しなくちゃいけないんだよ。


 誰かの顔色をよんだり。


 お金をたくさん集めたり。


 見た目を気にしたり。


 動く理由を考えたり。


 他にも色々しなくちゃいけない。


 ルールを破っちゃいけないし。


 間違える事はしちゃいけない。


 大人はとっても、大変だから。


 子供の時みたいに、ずっと笑っている事はできないみたい。


 笑っていたら、怒られるみたい。






 だから、大人になったら。変わらなくちゃ。


 ずっと笑っていたいけど。


 笑わないようにして生きていかなくちゃいけない。


 でも、ずっと笑っていたいから


 子供のままでいたいなもうちょっと。


 できれば、ずっと笑っていたいから。


 ずっと子供のままでいられないかな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ずっと笑ってはいられない 文芸 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ