おじさん、激レアドラゴンをゲットする

 俺たちはダンジョンを探索し、様々なモンスターに出会った。


「“ピンクスライム”ゲットしました! えへへーかわいいです!」


 うららのカードにはピンクスライムのデザインが刻まれている。


「アタシはゴブリン突進部隊をゲットしたわ! 守備を捨てて、攻撃に全振りしてる感じがたまんないのよね!」


 ゴブリン突進部隊は、どうやら群れで1体の扱いのようだ。レアなケースらしい。


「私は“ぴょんぴょんアルミラージ”ゲットした。可愛いすぎる、かも!」


 アルミラージは角の生えたうさぎの様なモンスターだ。


 レンはぴょんぴょん跳ねながら喜んでいる。


「後は俺だけだなー」


「んードラゴンさんなかなかいませんねぇ」


「やっぱ最下層辺りまで行かないと出てこないんじゃないかしら?」


「最下層行って、みる?」


「それじゃあ、最下層まで行ってみようか。いなかったらその時は何かのモンスターで妥協するよ」


 俺たちは最下層へと歩を進める。





 最下層に辿りついた俺たちの目の前に現れたのは、光り輝く強大なドラゴンだった。


 キラキラと銀色にきらめくその様は、まるでプラチナの様だ。


 ────エンシェントプラチナドラゴン【BOSSエネミー】



《うわわわわわBOSSエネミーだあああああ!》

《これはまずい!》

《みんな逃げろ! 相手が悪い!》

《昔、上級者パーティーが1人を除いて全滅したらしいな……》

《オワタ……》



「美しい……」


「見とれてる場合じゃないわよ、オジィ! ここのダンジョンのBOSSエネミーよ!」


「ウワサには聞いたことがありましたが、ほんとに出現するとは思いませんでした……」


「激レアなモンスターだね。これはぜひともゲットしたい、かも!」


『グオオオオオオオオオオ!』


 エンシェントプラチナドラゴンが咆哮ほうこうし、翼をはためかせ、宙に浮く。


 その一挙手一投足いっきょしゅいっとうそくは、まるで神話を世界に入り込んでしまったかのように神々しい。


「風圧だけでも凄すぎです! バリア!」


 うららは魔力障壁を張り、俺たちを風圧から守る。


『グオオオオオオオオオオ!』


 エンシェントプラチナドラゴンは、宙に浮かんだ状態からブレスを吐こうとしている。


「アタシを見下ろすなんて100年早いのよ! 『グラビトン』!」


 リッカの重力魔法によって、エンシェントプラチナドラゴンは、地面に引きずり落ちる。


『グオオオオオオオオオオ!』


 しかし地面倒れ込んだ後も、エンシェントプラチナドラゴンはブレスを吐くのをやめることはなかった。


 ヒュオオオオと絶対零度ぜったいれいどのブレスが放たれる。


 当たれば即死の絶望的なブレスだ。


「──ソード“クリエイト”!」


 俺はクリエイトを発動し、氷のブレスから氷剣を精製する。


「──今、かも! 『パワーチューン』!」


 レンのギターの音色が聴こえると同時に、力がみなぎる。


 俺はエンシェントプラチナドラゴンに向かって走り出す。


「おおおおおおおおおお! 『アブソリュート・ゼロ』!」


 俺の一撃が炸裂さくれつすると、同時にエンシェントプラチナドラゴンの全身が瞬時にこおりつく。


「────終わりだ」


 空のカードを用意し、俺が指をパッチンすると、エンシェントプラチナドラゴンが粉々に砕け散る。


 カードを見るとエンシェントプラチナドラゴンのデザインがキラキラと刻まれていた。


《キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!》

《エリアBOSS撃破すげぇwwwww》

《おめでとう!》

《エンシェントプラチナドラゴンのカード化ww》

《すげぇ値段がつくぞww》

《このパーティー強すぎィ!》

《最後、指パッチンする必要あったか?》

《バカ! 指パッチンは男のロマンなんだよ!》



 パーティーのみんなが俺にかけよってきた。


「やりましたね! おじさん! わぁ、キラキラしててすっごいキレイですぅ……」


「やったわねオジィ! まぁ天才大魔導士リッカ様にかかればこんなもんよ!」


「レアリティの高いカードだと、特殊に光るんだね。ほれぼれする、かも」


「と、ところでオジィ。前から思ってたんだけど……」


 リッカがもじもじと質問をする。


「ん? 何かなリッカちゃん」


「オ、オジって技名ってどうやって考えてんの? さっきの“アブソリュート・ゼロ”とか……な、なんかいい感じじゃない?」


 リッカの顔は少し赤くなっている。


「恥ずかしながら、いつも辞書とにらめっこしながらノートに書き出してるんだよね……」


 俺はポリポリと頭をかく。


「こ、今度、アタシの魔法の詠唱考える手伝ってよ、オジ……。ちょっとカッコよくアレンジしたいの」


「あぁ、俺でよければ何時間だって付き合うさ」


「ありがとう! さすが、オジね!」


 パァと顔が明るくなったリッカは俺とガッチリ握手をかわした。



《おじさん、ノートに技名書いて考えてたのかw》

《かっこいい技名はロマンなんだよ!》

《さっきのおじさんの技が“ひえひえブレード”だったらえるもんな》

《俺もノートに書いて、技名考えてますぅ……》



「あはは、あの2人、変なところで気が合うんですかねー」


「2人だけの世界……。ちょっとうらやましい、かも!」


────エンシェントプラチナドラゴンGET!








 


 


 








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