おじさん、S級モンスター“スライム”と対決するす

「ドレインスライムの体内は水分で出来ていてる。そして水は“音”を通しやすい」


「──なるほど。つまり私のユニークスキルを利用すれば……」


「そういうこと。だから俺に向かって、音の攻撃をしてくれないか? 俺のユニークスキルでそれを俺の能力で剣に変える!」


「分かった!」


 彼女はギターをかき鳴らす。


『────『ソニックスラッシュ』!」


 音の斬撃が俺に向かう。そして俺はクリエイト能力を発動させ、剣を精製する。


「名付けて“ソニックブレード”ってところか」


 剣のつかの頭には音符のマークが付いている。


「行ってくるよ、レンちゃん!」


「うん、行ってらっしゃいオジ様。その前に──」


 彼女は再びギターをかき鳴らす。


『──『疾走しっそうのビート』


 その音楽を聴いた途端に、身体が羽の様に軽くなる。


「これは?」


「素早さが上がる効果があるんだ。少しでもサポートになればいい、けど」


「ありがとう。さぁ、スライム退治と行こうか!」


 俺は頬を叩き、気合を入れる。


 



「身体が軽いな!」


 俺はビルの側面を駆け上がる。



《おい、あれオジサンじゃね?》

《おじさんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!》

《おじさん、ビルの壁を走りながら登ってるww》

《人間辞めてるな、おじさんw》



 俺はビルの屋上に登ると、ジャンプをして、次々と高層ビルを飛び移る。



《そんな軽々と……》

《マ⚪︎オじゃあるまいし……》

《あの足、どうなってんだw》



 狙うは一番高い高層ビル。


 ドレインスライムの真上から攻撃することにより、全体に攻撃を行き渡らせる。


『プルプルプルプルプルルル……』


 ドレインスライムは俺に気がついたのか、大量の粘液ねんえきを放ってきた。


 この粘液をくらってしまったら、建物は一瞬で溶解ようかいしてしまう。


「──クリエイト発動」


 俺はクリエイトを発動し、大量の粘液を無害なものに変化させ、被害を防ぐ。


《うおおおおお、おじさんのスーパークリエイトだぁ!》

《あの能力、反則すぎるだろw》

《攻防共に使えるチート能力だよな》

《でも俺もクリエイトに似たユニークスキル使えるけど、あんなの無理だってww》

《おじさんの練度が違い過ぎる……》


 ついにドレインスライム付近で、一番高い高層ビルに到着した。


 俺はそこから大ジャンプして、ドレインスライムの真上を取る。


 その瞬間、ギターの音が再び聴こえてきた。


「────『パワーチューン』! 攻撃力を上げる効果の音楽、だよ!」 


 レンの能力だ。身体に力がみなぎってくる。


『プルルルルルルルル!』


 ドレインスライムは今まで吸収してきた、攻撃や魔法を衝撃波として吐き出してきた。


「それごと叩き切ってやる!」


《おじさん、行けええええええええええ!》

《この街を救ってくれ……》

《やっちまええええええ!》

《行きなさいおじさん! 誰かのためじゃない、あなた自身の願いのために!》



『────おおおおおおおおおおおお! 『ソニックブレイズ』!」


『プルルルルルルルル!?』


 俺の剣から放たれた“音の波衝撃”は、ドレインスライムの真上から真下に貫通する。


『プルルルルルルルルアアアアアアアア!』


 音の衝撃波を吸収することもできず、ドレインスライムはパァンという派手な音を立て、盛大に弾けて消え失せた。


《やったぜ!》

《あの巨大なデカブツを倒したあああああ!》

《さすおじ》

《おじさん、信じたああああああああ!》

《オジサン、つえええええええええ!》

《これで安心してFPSやれるわ……》

《やったか!?》




「勝ったん、だね……」


 レンがはぁはぁと息を切らせながら、走ってきた。


「ああ、レンちゃんのおかげだよ」


「私はサポートしただけ。やったのはオジ様、だよ」


「そんなことはないさ。──と、リッカちゃんとうららちゃんも帰ってきた!」


「やったわね、オジぃ…… 」


「お見事でした、おじさん。さすがです……。うららもたくさんのケガ人治すことができました……」


 2人とも満身創痍まんしんそういでふらふらしている。


 2人には2人の過酷かこく戦いがあったんだろう。


「みんな、なんとか無事そうだな……。本当によかった……」


「なにシケた顔してんの、オジィ。なにはともあれこの勝負、私たちの完全勝利よ!」


「「「「おー!」」」」


 みんなでハイタッチをして、喜びを分かち合う。


 この街を、みんなを守れて本当によかったた。


「オジ様。ちょっと話がある、かも」


「ん? なんだいレンちゃん?」


「あのね、私──」



 



 


 












 


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