第6話  第8惑星人

「お疲れ様でした」体育館に声が響く。夏の夕暮れ。部活が終わり。僕ら1年はモップがけ。全開の大きな窓。昼に照らされたグランドの乾いた土の匂いが体育館の中に風といっしょに入って来る。グランド整備を1年の野球部が並んで、やっている。隣奥のグランドではサッカー部がまだ練習中だ。「遅くまで、やるよな。」ユウタが言う。ケイが「今年は強いらしいぜ。全国行き。」「そうなんだ。」「僕らも、行きたいな。」「そうだな。」僕はつぶやく。ユウタが「早く終われせて帰ろうよ。お腹空いたー。」「そうだな。」体育館のモップ掛け終了。僕らは急いで部室へ。着替えを急ぎ僕は「わるい。よるとこあるから。」ケイとユウタより先に出た。リクもまだ部室にいた。校門を左へ駅とは逆の道へ。少し狭い道だ。とっくに日がくれているのに蝉の声がする。『蝉?時間でも間違えたのか』風が吹く。生ぬるい夏の夜風。夏草の香もまじる。僕の鼻が動く。『喉乾いたー。』コンビニ前に目黒さんがいた。遅れてリクが合流。リクが「さあ、はじめようか。」片手を上げて光を放つ。ドーム状のバリアが辺りを囲む。ドーム、バリア内の色が変わる。単色のグレーだ。「はい。時空空間の出来上がり。プライベート空間だ。」僕は「リク、わるい、喉が,からからだ。コンビニ行きたいだけど。」リクは「しょうがないな。せっかく地球空間とは違う空間バリアを張ったのに。まあ、いいや。僕も喉が渇いたしな。」僕は目黒さんに「目黒さんは何が飲みたい?」「私は、アイスコーヒーで。」「わかった。リク、バリア解除頼む。」「OK」「ビリビリ」小さな音が立ちバリアが解ける。色が変わる。元の世界の色だ。僕はリクとコンビニに入る。「リク、ここのコンビニははじめて?」「あー。」「そう。いつ、地球に戻ったんだ?」「地球時間で言うと昨日だ。」「よくアメリカからの帰国生とかアリバイ工作したよな。」「まあな。僕ら第8惑星人は時間操作、空間移動できるからそのあたりは簡単さ。それにショウ、バグは持っていても人の脳内操作、ショウもできるだろう。」「なんで知っているんだ。」「そんなの当たり前じゃないか。あの時、あったビク、覚えている?」「あーあ、ビク。僕らと同じ年の少年?」リクは笑いながら「少年?ショウ、君もだまされているよ。彼は第8惑星の戦略チームの長官さ。年齢は地球時間で言うと100歳ぐらい。」「えっ?100歳?」「あー100歳。見た目はビクの好みで、少年に化けているだけさ。」「自分の好みで?」「僕らには時間概念がない。この地球と全く違う。見た目で人は判断できないんだ。」「へーえ、そうなんだ。」リクは右手をかざし透明のPC画面をもの前に出した。「リク、STOPここはコンビニ内だ。防犯カメラに映ると、まずい。」リクは「大丈夫さ、出るときすべて消去していくよ。」僕は外を見た。目黒さんが退屈そうにしている。「リク、アイスコーヒーの注文頼む。」僕は炭酸とってくるから、リクも僕のと同じでいいよな。」「頼む。」リクが『ショウ、覚えてくれてありがとう。僕の好きな炭酸水。ショウと同じやつ。ここのコンビにはあるんだ。」僕らはコンビニを出た。リクは出るときに片手をあげ店内の店員、防犯カメラを消去した。僕は目黒さんに「お待たせ、目黒さん。」リクはアイスコーヒーを渡す。コンビニ入口近くで僕らは飲んだ。普通の人から見たら、僕らはただの高校生にしか見えない。僕の脳内にリクが答える。『そうだよね。』目黒さんも軽く絡んでくる。『そう、普通の地球の高校生ってね。』炭酸水が喉にしみる。レモンの味が微かに残る。横目でリクを見る。おいしそうに喉を鳴らし、がぶ飲みしてる。僕は「少し冷えたらまた時空空間で話そう。」「そうだな。」リクが答える。目黒さんもアイスコーヒーのストローをくわえたまま、うなずく。僕らは第8惑星人。

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