第4話 バグの僕高1

記憶があるがない僕。ケイが「ショウどこ行ってたんだ。振り返るといなかったけど。」ユウタも「そう、ショウ君、一人で屋台で美味しいもの食べたりしてないよね。」僕は正直に話そうと口を開けたが口から出た言葉は「そう、ユウタのチョコバナナがどうしても食べたくって。ごめん。」ユウタは「そう、やっぱり屋台か、花火終わったら、すぐに行こうね。」「うん。」秋山さんも「ユウタ、私も行くよ。」太田さんも目黒さんも「お腹空いたしね。」僕は「そうだね、みんなで行こう。」っといった言葉をかき消すように「ドーン、ドーン」っと大きな花火がまた夜空に上がった。大きな花火のしだれ花火。黄色から線が花開くようにわん曲に伸びていく。色が黄色の花から白い線に変わる。大輪の花火の花は最後に白く光り夜空の黒と混じり合う。僕の好きな花火だ。僕は何事もなかったように花火を楽しんだ。もちろん帰りの屋台のチョコバナナも食べた。この日の記憶は僕の一番奥の中に入り込んでしまった。忘れた。という言葉は、正しくない。あれから10年近くが過ぎた。僕は普通の人間として生活して来た。そして今僕は高校1年。相変わらず、ケイやユウタと連れ立っている。それにあの日、花火で一緒だった女子3人とも相変わらず集まって遊んでいる。みんな同じ高校だ。僕らは小2の夏のままの関係がつづいている。不思議なくらい仲がいい。あの日の夏。夕暮れに見たUFOはケイもユウタも記憶がない。僕も太陽系第8惑星の住人だと言う事も忘れて過ごしてきた。「おーいショウ、部活行こぜ。」ケイが呼んでいる。夏休み初日の今日は午後からだ。窓を開けて「ケイ、今行くよ。」バスケットシューズをカバンに放り投げ僕は玄関を出た。ケイも僕もかなりの高身長だ。185cmは余裕である。細身のバスケ向きだ。「おーい」ユウタが左手から合流。ユウタは僕らよりもっと身長は高い。小2のあの食いしん坊のぽっちゃりから想像がつかいくらいイケメンのバスケ少年になっていた。「ねえ、ショウ君たち、ずるいよ。僕を忘れないでよ。」ケイが「ごめんごめん本屋に寄ってたからショウの家が近かったからさ

。ユウタを忘れてた、わけじゃないよ。」「ケイ君ほんと?」「ほんとだってば。」ユウタはこんなにイケメンに育ったのに性格はあの頃のままだ。もちろん負けず嫌いで少し臆病な強がりのケイも変わらない。それにリク?リクも僕らと同じく大きくなったのかな。第8惑星で今頃なにをやっているんだろう?学校校門前、信号が赤。秋山さん、太田さんテニス部の2人と信号待ち。相変わらず秋山さんはユウタのお母さんのように「ユウタ、部活中、ちゃんと水分取るのよ。」「はーい。」相変わらず素直に言うことを聞いている。それに最近気づいたことがある。太田さんはどうやらケイのことが好きなようだ。しかしケイは小2の頃から秋山さんのことが好きで。ややこしいが、なんとなくうまくいっている僕ら。そしてリクを覚えている目黒さん。彼女は、もしかして僕と同じ第8惑星の異世界人?あれ以来なぜか僕は目黒さんを避けていた。理由はある。自分で認めるには、まだ覚悟がない。しかし、その時、右手から目黒さんが並んだ。「“リク”がもどってくるわよ。」その声は、うれしそうではなく。僕には単なる伝達事項にしかし聞こえなかった。信号が変わる。僕らは校門をくぐった。僕の身体に軽い電磁波が走った。

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