第3話 ビク登場
花火は連打で打ち上げられた。かき氷を手にみんな河川敷まで音と光に吸い込まれるように歩いた。僕は1番後ろから歩いた。メロンのみどりのかき氷が歯にしみる。「ドーン」「ドーン」音が鳴る。2秒後、花火が開く。歓声と夜空の黒。花火の光に紛れ上空から光線が前を歩く大学生らしい男子にあたる。次の瞬間“消えた。“僕は思わず「あっ」と声を出した。歓声でかき消され映像だけが頭の中に残った。よく見ると同じように光線が上空から次々に放たれている。まわりは気づいていないようだ。僕は前を歩くケイに知らせようと手を伸ばした。瞬間、上空からの光が僕にあたった。僕は光に引っ張られ上空へ浮いて移動中。空を飛ぶようにリクが”ショウ“と僕の名前を呼ぶ。目の前にリクがいる。宙の足元から見下ろす地上の花火の光景。異次元の出来事が今まさに、起きている。夢ではなく現実に起きている。僕は小2にしては、IQは、かなり高い方だ。もう一度目の前のリクを見る。「リク、なぜ空に浮いてるの?リクはどうして消えたの?」「ショウ、相変わらず冷静だよね。」「まあ。いつもと同じさ。リクもそうだろう。」「まあ。そうだな。」「リクできれば簡単に説明してくれ。」「うん。分かった。僕は太陽系外第8惑星の異世界人。飛べるのは重力魔法を使えるからさ。消えた理由はもとの姿に戻っただけだよ。」僕は頭の中で考えた。リクは嘘を言っていない。嘘をつくときリクはいつも鼻が少しだけ膨らむ。「リク、この光はどこにむかってるの?」「僕らの母船の中だよ。母船内に空間移動室があってそこから故郷のへ帰還させているんだ。」「帰還?誘拐じゃなくて?」「そう、帰還。」「リク、分かりやすく話してくれ。」「ショウ、君も気づいてるだろう。君も僕と同じ第8惑星の異世界人だよ。」聞いて僕は驚かなかった。リクとは考えも行動も似ていた。思考回路が同じような感覚だった。もちろん、ユウタやケイとも気が合ったがリクは特別だった。「リクじゃ僕らは異世界人?ってこと。」「そうだよ。この光線にあたって消える人はみんな僕らと同じ第8惑星世界の人たちだよ。」「なんで、地球にいるの?」「それは、第8惑星が第二の移住地を探していたからだ。それに僕らは空間移動の魔法も使えるからランダムに人を選んで地球に送り込んでいたのさ。」「でもリク、僕は記憶がないんだけど。」「えっ?ふつうは、この光線の中に入ると封印されていた第8惑星の記憶がよみがえるのに。おかしいな?」スーッと僕らと同じくらいの男の子が目の前に現れて、「それ、君、バグだよ。」「バグ?」僕はすぐに反応した。リクは「バグか。」僕は少し不安になった。男の子は「大丈夫だよ。時間が経てば思いだせるよ。たまにあるんだよね。一時的に第8惑星の記憶が深いところに隠れてしまって表になかなか出てこないこと。バグってそういう意味だから、大丈夫だよ。」僕はほっとした。「ありがとう。ところで君は?」「僕はビク。少し前に一度話しているよ。ショウ、覚えている?」『今故障中なんだ』「あっ、あの時のUFO?の声」「そう、僕だよ。あの時ショウがテレパシーで話かけてきたから、僕は、てっきり第8惑星を思い出してるって思ってたんだけどね。」僕は「あれは偶然だよ。なんとなく頭の中で考えていたことだよ。」ビクはまじめな顔つきで「それが、テレパシーだよ。」光線の中でバグをもった僕は宙でフリーズしたままだった。ビクが「通達が来たよ。ショウは、まだ地球に残っているようにとの指示が来たよ。」”地球へ返送”ビクとリクは、にっこりと笑って「またね。」と僕に微笑んで僕は光線の中、逆走した。”ビリビリ”体に電流が流れた。気づくと僕はさっきの河川敷の列にもどっていた。
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