第2話 消えたリク
リクを僕は覚えている。正しくは、僕しか覚えていなかった。夏休みの今、学校は休み。先生にも聞けない。たまたま会った同級生の女子3人。秋山さん、太田さん、目黒さんに「君たちクラスメートのリク知らない?」秋山さんが「知らない。リクって誰?」「知らない、ショウくん大丈夫?夏休みは、始まったばかりよ。もう夏休みボケ?」目黒さんも「リク?あれ?知らない。」『あれ?顔が出てこない?』1人だけ不思議そうに「知らない。」と口から出ているようだ。それも無理はない。目黒さんはリクのことが好きで小1のバレンタインにチョコを渡していた。その場に僕もいたから間違いない。『やっぱりおかしい。なぜだ。』目黒さんと目があった。不思議そうに僕の顔を見る。秋山さんが「ショウくんごめん。私達これからモールのキャラクターショップに行くの。じゃ。バイバイ」と行ってしまった。嘘をついているようではなかった。あれからあっという間に夏休み1週間が過ぎた。明日は7月30日。夏休み最大イベントのひとつ花火大会だ。会場の河川には大勢の人が集まっていた。夕暮れ近く屋台の明かりもついて道路も歩道も渋滞が始まった。「おーい、ショウ。」ケイが大声で僕を呼ぶ。「ケイ、ユウタと。」『あれ?“リク”いや、いない。』 僕は言葉を飲み込んだ。「ユウタはまだ?」「食いしん坊のユウタたのことだから屋台でも寄ってるかも」「ショウ、ケイ。」うわさをしていたら片手にチョコバナナを食べながら前から、のんびり手を振りユウタが来た。ケイが「ユウタ、遅いぞ。」「ごめん、ごめん。どうーしても食べたくてさ。花火もいいけど、まずは食べないと。ほら、お母さんさんにお小遣い、ほら、もらったてきたし。」僕は「そうだな、暑いし、かき氷でも食べる?」ケイも「そうだな」うれしそうにユウタも大きな口でチョコバナナを放り込み。「僕も食べるー」“僕も食べたーい。”リクの声が聞こえた気がして僕は振り返った。ケイが僕を呼ぶ。「ショウ早く。」
僕らはかき氷の列に並んだ。行列は長かった。
目の前に浴衣にヨーヨーを持っておしゃべりしている女子3人。「あっ。」ユウタが「秋山さんだ」以外だかユウタと秋山さんは隣同士の家。幼なじみだ。「ユウタ、来てたんだ。あんまり食べ過ぎないように。チョコ、洋服に付けてるよ。汚さないようにね。」ユウタは「はーい。でも大丈夫。大丈夫。」秋山さんはまるでユウタのお母さんのようだ。横目でケイが2人を見ていた。僕は、なにげに目黒さんを見た。朝顔の浴衣がとても似合っている。
「どーん。」大きな音で僕らみんな振り返った。「花火だ。」夜空に上がった花火は、とてもきれいだった。“スーッと”オレンジに光物体が見えた。僕はみんなに「UFO 」教えようとした。目黒さんが「今はだめ。」僕を止めた。
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