第3話
「おい、おっさn」
「王よ、発言をお許しいただきたい」
ただでさえ周りの圧が強まっている状態でさらに失態を犯しかねない高校生組を黙らせるために、冬治がかなりの大きな声で王様へと発言の許しを願い出た。
「ああ、許そう」
「私は、佐藤冬治。姓が佐藤で名が冬治と申します。まず、我が同胞の失礼な発言お許しください」
「教育を受けてない者が失礼な物言いをする事は仕方なき事。そのことで腹を立てるほど狭量ではない」
「寛大なお言葉ありがとうございます。とはいえ、王が許しても国としてのメンツや王の下で使える者たちの感情まで抑えることは不可能。ならばこそここで同胞として無礼を謝罪させていただきます」
冬治が言葉を紡ぐたびに周りからの圧が弱まっていくのが感じ取れた。
「謝罪を受け入れよう。皆の者もこの謝罪によりこの度のことは水に流すように」
「王よ、遅くなりましたが、私以外の者も自己紹介を行ってもよろしいでしょうか」
「ああ、姿勢も楽にしてくれてもかまわない」
ここで、立ち上がってもいいのかわからずメイドの方へと目線を向けるとうなずいたので、おじさん3人も立ち上がることにした。
「私は、森安健斗。姓は森安、名は健斗といいます」
「私は、長瀬大志。姓は長瀬、名は大志といいます」
2人のおじさんの自己紹介が終わると、高校生組も会話に加わろうとしたがそれよりも早く冬治が声を張り上げて遮った。
「残りの3名ですが、わが国では成人になる前の半人前となっております。これ以上の無礼を働くことが無いよう私が、年長者として成人するまでの幾年か保護していることに留意いただきたい」
「ああ、いいだろ」
先ほどまでの差材を受け入れた時よりも強い圧が周りから放たれているように感じてきたが、表面上王も冬治もにこやかに会話していた。
「それでは3人とも自己紹介を」
「あ、えーと。保田山
「俺は、立花
「藤堂
「一番成人になるのが遅いホダヤマライトが成人になるまではそなたの保護下にいることをここで宣言しよう」
「ありがとうございます」
花火君の成人宣言に驚いて一瞬顔に出してしまった冬治に対してフォローするかのように王自ら宣言された言葉に安堵することとなった。
「さて本題に入ろう。」
王がメイドに目で合図を出すと、左手の幕が開きお盆を持ったメイドが現れた。
「こちらをどうぞ」
目線を下げたままのメイドに促されて、お盆に乗った指輪を各自手に取った。
「こちらは?」
「これは、通話などの機能が搭載されている我が国の最新魔道具だ。」
ドヤ顔で説明されたが使い方がわからず混乱していると、期待していた反応ではなかったのか落胆して、椅子に深々と腰かけた。
「使い方は宰相に聞いてくれ」
「変わりまして、宰相のユーリコン・ベル・バッハと申します。こちらの魔道具を身に着けていただき魔力を流すことで起動できます。」
各自の手元にあるものとよく似た指輪がはまった小指を見せながら説明してくれる。
「魔力を流しますと、光が指輪から出ているのがわかります。この光を目に当てることで、現在のご自身の健康状態から通話相手の選択などの情報が見られます。ああ、この魔道具は装着しなければ内容が見れませんのでご注意を」
「説明ありがとうございます。使っていくうちに慣れていくとは思いますが、その前に魔力はどのように流せばいいのですか?」
佐藤さんが素朴な疑問を述べると驚いたように王と宰相が顔を見合わせていた。
「そなたらの世界には魔道具はないのか?」
「ええ、わたしたちの世界には 電気を使用する物はありますが魔法がありませんので」
「それはまた、不便な世界から来たものだな。あれを持ってきてくれ」
王が声をかけると先ほどと同じところからカートを引いたメイドが現れた。
そのカートの上には手のひらに収まるサイズの種が人数分用意されていた。
「この種は魔力を吸って成長する植物です。我が国の子供はこの植物を育てることで魔力の扱い方を学びます」
種を順番に配られる間宰相が説明してくれている。
「やり方は簡単です。両手で握りしめてください。そうすれば種が魔力を吸収します。魔力を吸収すると発芽して育ちますので、中からの反発に逆らわずに手をゆっくりと開いてください」
それぞれ手にした種を握りしめるとすぐに結果が出始めた。
異世界召喚に巻き込まれたおっさんは3人いた!! えでぃ @alice_edyi
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