第2話

「おはようございます」


「おはよう」


「コーヒーですか?」


「ああ、昨日仲良くなったメイドからの差し入れだね」


昨日に与えられた部屋にと、冬治がすでに戻っておりコーヒーをおいしそうに飲んでいた。


「大志君は戻ってないんですか?」


「まだだね、ミスしてなければそろそろじゃないかな」


噂話をしていると現れるもので、大志が手にサンドイッチをもって部屋に戻ってきた。


「おはようございます」


「おはよう」


「おはよう、それで皆さんの成果はありましたか?」


サンドイッチを手に取りながら昨晩の成果の報告にはいった。



「それじゃ最初に私からだな、さすがに2人と違い枯れかけの私では若い子を相手にするのは無理だったので、こちらに持ってこれたリュックに入っていたチョコを差し入れにメイドさんに差し入れしていろいろ聞いた」


昨日部屋に通された時には暗くなりかけていたが、電気があるのか夜でも明かりを灯す装置が建物内にいくつも設置してあり、情報収集するために各自動くこととなった。


「深い関係になったわけではないので詳しくは聞けなかったが、現状どこからかの攻撃を受けてるようなことはないそうだ。そもそもここの国名の通り統一国なためこの大陸で総数部族ですらこの国の一部とのこと。戦争が起こる事すら数100年前の統一戦争以外起こったことないんだそうだ」


「俺も同じような結果ですね。ただ、戦争はなくとも政争であったり宗教闘争は起こっているそうですよ。とはいえ今回私たちというよりあの高校生たちがここに呼ばれた理由はわかりませんが」


「私も似たような感じですが、技術的には私たちの国と似たような技術水準に達してるみたいですね。さすがにスマホはありませんが大陸の端から端まで届く通信手段はあるとのこと。そのほかにはよく創作物で出てくる魔法があり魔物がいるそうです」


「まあ、昨日健斗君がナンパしていた女性の耳が本物ならばそういうこともあるか」


健斗は部屋に案内されてすぐに部屋の前を通った猫耳少女に声をかけていた。


「あとは、最近地震が頻発しており、魔物も増えているために物資輸送が滞り物価も上がっているそうですよ」


「それはこの都市だけで?」


「そうでもなさそうですね、輸送費が上がっているわけではないそうなので手紙や宅配物は時間はかかるようになったとは言ってましたけど」


「さて、この情報は本物か、つかまされたものか」


「どちらでもよくないですか?正直ここから出れなければ正確なことはわからないですし、この後の王女の話を聞いてから考えませんか?」


それもそうだと、先ほどの話を頭の片隅に追いやり、コーヒーをおじさん3人で楽しんでいたところノックの音とともにメイドが入ってきた。


「おくつろぎ中すみません。謁見の準備が整いましたのでお越しいただきたいのですが」


「わかりました。案内してください」


メイドの後をついていくと、途中で高校生組と合流をした。


もともと親しかったわけではないので、顔を合わせたところで会釈であいさつするくらいであった。


謁見の間と思われる場所に到着すると、扉が開かれた。


「召喚されし者ご到着」


扉が開かれる前に何か言っていたようだが扉が分厚いためか、最後の部分しか聞き取れなかった。


扉が開くとカーベットが玉座に向かってひかれておりカーペットの左右には小銃の銃口を天井に向け腰にはサーベルらしきものを刺した部隊が等間隔に並んでいた。


周りに目を向けると王座がおかれた位置よりは低いが、自分たちが歩いているカーペットよりは一段高い場所にバルコニーが設置してあり、わざと光が届かないようにしてあるのかバルコニーの中にいる人の顔が判別できないようになっていた。


メイドの後に続いて王座の直前まで来るとメイドが少し横にずれて跪いた。


それを確認してすぐさまおじさん3人は跪いたが、高校生組は周りの光景を見ることに夢中であった。


『国王陛下並びに王女殿下ご入場、各位礼』


その合図とともにカーペットの左右にいた兵隊一糸乱れぬ動きが音で伝わってくる。


頭を垂れ玉座に視線を送らないようにしているため詳しく見くことはできないが、王座へ体を向け銃口を下に向けてているのは確認できた。


「楽にしてよい」


少し疲れが見える声が響き兵隊の動く音が聞こえてくる。


「そなたらが召喚された者たちか?」


「は、はい」


「ふむ、ところでそこで跪いている者たちは?」


「彼らも私たちと同じように召喚された者たちです」


ここまで王との会話を光輝ライト君が答えていたが、おじさんたちは王の言葉に食い気味に話す光輝に対して冷や汗を流し、引きつった顔で互を見合っていた。


このような場所で、相手の言葉を遮るとどうなるのか、許可なく話せばどうなるのか上下関係の厳しい時代に青春を送り社会で叩き込まれた価値観から、この場所から逃げたくなっていた。


実際、許可なく頭を上げるつもりはなかったのだが、光輝が話し始めた時は3人とも驚いて顔を上げてしまっていた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る