沖縄って、特別な場所だなと思います。
王国の歴史、戦争と侵略の記録、固有の環境、基地との共存、地域のつながり。もちろん沖縄以外の地域にもそういった側面はあるけれど。沖縄の美しい自然や観光地としての姿との、ある意味相反的な在り方はやはり、特殊で特別であると感じます。
沖縄の短歌を詠もうと思った時、どうしてもその美しさばかりを表現したくなってしまいます。
しかし作者さんは、旅の中で掬い取った沖縄の姿を、ひろくふかく多面的にとらえ、美しいだけではない沖縄の姿を、内地の者からの目線で丁寧に三十一字に詠みあげています。
美ら海だけじゃない、特別で、複雑な沖縄。
それでも私たちは、ひと時でも「内地での自分」以外のものになりたくて、沖縄に行くのです。